皆さんは、沈黙の臓器と言われる肝臓が、人間に身体のどの部分にあるのかご存知ですか?まずは肝臓の位置からおさらいいたしましょうか。肝臓は右上腹部から左にかけてのあばら骨の裏側にあります。重さは1200~1400グラムで、私たちの身体の中で最も重い臓器です。
肝臓には二つの血管が結ばれており、一つは胃や腸から吸収された栄養を肝臓に運ぶ門脈と、酸素を含んだ動脈血を運搬する冠動脈があります。
そんな肝臓の病気の中で 肝硬変 はどのような位置づけになっているのか、そして、どんな自覚 症状 を見せるのかを見て行くことにいたします。
肝硬変は自覚症状で、すぐに判断ができます(前編)
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肝臓の役割
肝臓は体の中でどんな働きをしているのでしょうか?まずはそれを見て行きましょう。肝臓には3つの役割があります。
一番目は胆汁を作っていることです。胆汁は胆管を通って十二指腸に排出されるのですが、途中にある胆嚢で胆汁は濃縮され、腸からの脂肪の吸収に役立っています。
二番目は摂取された栄養分や血液成分を代謝し、身体が吸収しやすいようにしていることです。例えば、ブドウ糖をグリコーゲンに変換して蓄え、必要な時にエネルギーとして放出し、生体にとって不可欠な役割をしています。
それから、赤血球をつくるのに必要な養酸やビタミンB12を送り出します。アルブミンとフィブリノゲンは血液に必要な物質ですが、これをアミノ酸から作り出しています。
そして、三番目は解毒作用です。肝臓は沈黙の臓器でありながら化学工場とも言われています。体内に吸収された有害物質を酸化・還元して無毒化します。アンモニアや薬物などを解毒し、胆汁や尿に変えて排泄します。
肝臓の主だった病気
肝臓にはいろいろな病気がありますが、日本人に多いのはこのウイルス性肝炎で、A型、B型、C型、D型、E型の肝炎があります。具体的な疾患名としては、急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎などが挙げられ、慢性肝炎のほとんどと、肝硬変、肝細胞がんの多くがウイルス性肝炎に起因しています。
他にもアルコールの多飲が原因の肝臓障害、薬剤性肝障害などがありますが、数としては少ないものです。今回は肝臓の病気の中で、肝硬変を採り上げることにいたしました。
肝硬変って、どんな病気なの?
肝硬変はそもそもギリシャ語のKirrhos(黄色)で、硬化した肝臓が黄色をしていることから、名づけられたとされています。
肝硬変は肝臓が硬くなる疾患で、肝細胞が壊されるとその部分が線維化することで、肝臓の形状が変わったり、表面の凹凸ができたりします。そうなると、肝臓内の血液循環に齟齬を来し、本来の肝臓の役割ができなくなります。
肝硬変の組織変化としては、びまん性の肝線維症、肝臓の正常構造が失われた結果、結節性が再生、肝細胞の変性などが視認され、臨床的には、慢性疾患、肝臓の機能障害、門脈圧亢進などが見られます。
まとめ
肝硬変は自覚症状で、すぐに判断ができます(前編)
肝臓の役割
肝臓の主だった病気
肝硬変って、どんな病気なの?