胃潰瘍は一般的に治癒までに8週間程度かかります。しかし、治療方法は症状ごとに段階的に変化するため治療期間は症状によって変化します。
今回は、 胃潰瘍 を症状別にわけて 治療 方法と 期間 についてわかりやすく解説します。
胃潰瘍の症状別にみる治療と期間
胃潰瘍による出血がある場合の治療方法と期間
胃潰瘍になると、まず出血性の潰瘍であるかを確認します。潰瘍から出血がある場合は吐血や下血がみられます。出血量がおおいときには顔面蒼白やめまいの症状があらわれます。出血があるときの治療は入院治療が必要になり、治癒するまでの期間は数か月におよびます。
治療方法は、全身状態が安定していることを確認した後に内視鏡検査をします。内視鏡で出血が確認できたら内視鏡的止血方法で止血を行います。内視鏡的止血は、年々進歩しており手術が必要になるケースは減ってきています。
出血がなくピロリ菌感染が陽性だった場合の治療方法と期間
胃潰瘍で出血性潰瘍でないことを確認した後はピロリ菌が陽性であるかを調べます。ピロリ菌の検査は数種類あり、大きく分けて内視鏡の検査時に生検した組織を使う方法と血液検査と尿検査、尿素呼気試験の4種類があります。
以前に除菌経験がある場合は、胃全体の菌の状態を反映する尿素呼気試験で検査をします。ピロリ菌が陽性の場合はピロリ菌の除去を行います。
除去方法は、胃酸分泌抑制薬「プロトンポンプ阻害薬」と抗生物質をアモキシシリンとクラリスロマイシンの2種類で合計3種類の薬を1週間服用します。アモキシシリンはペニシリン系薬剤のためアレルギーがある人は使用できません。服用は毎日忘れないようにすることが重要です。
途中でやめてしまったり量を減らすと除菌効果が下がってしまったりします。副作用は軽い下痢です。7日間の服用が終わると、4週間以上あけてから除菌が成功したかどうかを検査します。
除菌の成功確率は80%程度といわれています。除菌が失敗した場合は潰瘍の再発を防ぐための治療が行われます。治療方法は、プロトンポンプ阻害薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬が有効といわれていますが、薬剤の種類や量については現在も検討がされています。
ピロリ菌感染が陰性だった場合の治療方法と期間
ピロリ菌感染が陰性で胃潰瘍がある場合は、不規則な生活や食生活が影響している可能背があります。薬だけに頼ることができないため、胃潰瘍の原因となっている要因を取り除くまで治療が続くことになります。
規則的な食生活や嗜好品を控えること、ストレスへの対応も胃潰瘍の再発や治療期間に大きく影響を与えます。治療方法は薬の服用です。胃潰瘍は強力な薬剤によって痛みの症状は数日でとることができます。
しかし症状がなくなっても胃潰瘍は治癒していないため医師から指示された期間は薬を服用するようにしましょう。
胃潰瘍からの出血はないが消炎鎮痛薬を服用中の治療方法と期間
痛み止めや解熱剤として使われている非ステロイド系消炎鎮痛剤は、胃潰瘍を引き起こすことがあります。非ステロイド系消炎鎮痛剤は発熱時やリウマチなどの整形外科で日常的に使われている薬です。
高齢者では、非ステロイド系消炎鎮痛剤の一種とされるアスピリンを服用している人も多くいます。アスピリンは心筋梗塞や脳梗塞の予防にも使われています。
非ステロイド系消炎鎮痛剤やアスピリンは、胃粘膜を障害するだけでなくプロスタグランジンという胃を保護する物質の生成を妨げる働きがあります。
また、胃粘膜の血流を妨げることで胃潰瘍を引き起こすといわれています。非ステロイド系消炎鎮痛剤を服用していた場合は、服用中止することが望ましいですが中止できないときには医師と相談し、治療に用いる薬の種類を考えなければなりません。
非ステロイド系消炎鎮痛剤を服用していて胃潰瘍になったときには、まず服用を中止してからピロリ菌の検査にうつるため多少治療期間は長くなります。
まとめ
胃潰瘍の症状別にみる治療と期間
胃潰瘍による出血がある場合の治療方法と期間
出血がなくピロリ菌感染が陽性だった場合の治療方法と期間
ピロリ菌感染が陰性だった場合の治療方法と期間
胃潰瘍からの出血はないが消炎鎮痛薬を服用中の治療方法と期間