「肝硬変は自覚症状で、すぐに判断ができます(前編)」では、肝臓の役割や肝臓の病気についてご紹介しました。中編では、肝臓の病気のなかでも 肝硬変 について、その 症状 や発症理由に焦点をあてご紹介します。
肝硬変は自覚症状で、すぐに判断ができます(中編)
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肝硬変はどうして起こるのでしょうか?
欧米では肝硬変はアルコールによるものがよく見られますが、日本での多くはウイルス肝炎から発症します。そのほとんどはB型のキャリア発症例と、C型の輸血による肝炎で、これらの慢性肝炎が時間をかけて肝硬変に移行いたします。
慢性肝炎の患者の一割は、長い年月をかけて肝硬変に移行することが分かっています。また一時的に肝細胞の炎症があった場合、肝細胞の再生と線維化についても一過性で済むときもありますが、慢性化した炎症が見られる場合は、肝細胞の再生と線維化が繰り返し起きます。
少ないとされているアルコールによる肝硬変も近年では増加傾向にあります。例えば、日本酒を一日5合以上、10年以上も続けると肝硬変に罹患する頻度が高くなると言われています。
それ以外にも、長期的な化学的毒物の汚染や、ある特定の薬物の服用、食物の摂取・汚染などが肝硬変を引き起こします。
また、低栄養、いわゆる栄養不良も肝硬変の原因になります。低栄養状態が長く続きますと、肝細胞の酵素の生産がおろそかになり脂肪肝を発症します。この脂肪肝が肝硬変の源となるのです。
胆汁性肝硬変は長期間にわたって胆汁のうっ滞が起こり、胆管結石、胆道・膵腫瘍、先天性胆道閉鎖、術後胆道狭窄、胆管炎などが原因になります。輸胆管が詰まると血液や酸素が肝細胞に送られなくなります。そうなると、肝細胞が壊死する結果として、線維化が起こり肝硬変に移行するのです。
寄生虫性肝硬変は、日本住血吸虫、肝吸虫に感染したことで起こります。その他にも梅毒性肝硬変、ヘモクロマト―シスやウイルソン病などが原因になる場合もあります。
肝硬変の症状
肝臓には肝臓の一部が障害のため機能不全に陥っても残りの肝臓が働いてくれます。それを代償能とも、代償期とも言います。この代償期には、自覚症状もなく肝硬変はなかなか症状が現れませんが、病状が進行してくると、代償能が減退して、いろいろ症状が出始めます。
この時を非代償期と言って、門脈圧亢進、肝不全、肝がんなどの症状が現出します。自覚症状として倦怠感や腹部膨満感、食欲不振、吐き気・嘔吐、浮腫、消化管からの出血、黄疸、易疲労感、手掌紅斑、くも状血管腫、肝臓・脾臓の腫大、腹水、肝性脳症、男の女性化乳房などが見られるようになります。
他覚的所見としては、半数に脾腫が見られ、血液中のアルブミンの低下によって腹水が見られます。へその周囲には腹壁静脈の腫脹が現れます。肝機能が不全状態になりますと、黄疸、腹水、浮腫、意識障害が現れ、浮腫は血液たんぱく質の低下、腹水による下大静脈が圧迫されることで起こります。
意識障害は肝細胞の働きが障害を受け、傾眠、不眠、興奮などから昏睡に進みます。初期の段階では、遅い言葉、計算力の低下、書き文字などに異常が見受けられます。肝性昏睡は消化管出血、過度の利尿剤、過度の腹水排除、感染、便秘、睡眠剤、食事などが誘因になります。
まとめ
肝硬変は自覚症状で、すぐに判断ができます(中編)
肝硬変はどうして起こるのでしょうか?
肝硬変の症状