カンジダ症という病気をご存知でしょうか?これは、通常は病気をおこすことのない常在菌が、免疫低下などさまざまな理由によって感染症をおこしてしまう病気です。常在菌でありながら、時には怖い病気をおこしてしまう カンジダ症 についてご紹介します。
カンジダ症ってなに?常在菌が暴れるその理由とは?
カンジダ症ってどんな病気?
カンジダ症とは、カビの一種であるカンジダ属菌による感染症であり、皮膚や粘膜への発症が多くみられます。
しかし、カンジダ属菌は、皮膚や消化管、女性の膣内に普通に存在する常在菌であり、通常は健康な人には何の影響も及ぼしません。このような菌による感染症を日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)と呼びます。
カンジダ症を発症するケースには、ビタミン欠乏によって免疫が低下している場合や、病気によって体力が著しく低下している場合などがあります。
なかでも、悪性腫瘍の治療をしている患者や、臓器移植後で免疫抑制剤を投与している患者、エイズ患者などの場合には、感染が全身にまでおよび、カンジダ敗血症となって生命を奪ってしまうこともあります。
抗生剤の普及によって感染症の多くを治療することが可能になりましたが、その反面、強い菌が消滅した隙間に常在菌であるカンジダなど異常に繁殖してしまい、発病することが増えているようです。
皮膚カンジダ症
皮膚カンジダ症は、カンジダ症のなかで最も発生頻度が高く、少しの体調不良やビタミン欠乏によって発症することもあるため、特に心配するような病気ではありません。
股や陰部、手指の第3指間などの、こすれやすくしめりやすい場所におこることが多く、赤いポツポツができて、そこに水ぶくれができたり膿がたまったりすることがあります。
糖尿病や高齢による免疫の低下などの要因のほか、高温多湿や多汗、不潔なども皮膚カンジダ症の発症に大きく関わっており、寝たきりでオムツを使用している高齢者などにはおこりやすくなります。
治療には外用の抗真菌薬を主に使用しますが、患部が広範囲であったり重症である場合には内服薬を使用する場合もあります。
口腔カンジダ症
口腔カンジダ症には4つの種類があり、急性偽膜性カンジダ症、急性萎縮性カンジダ症、慢性肥厚性カンジダ症、慢性萎縮性カンジダ症に分類されます。舌や口蓋、口唇、頬などにできやすく、粘膜のびらんを生じて痛みを伴いますので、摂食困難になることも多くあります。
発症する原因としては、免疫力の低下によるもののほか、抗生剤の長期使用による口腔内常在菌のバランスが崩れることによるものがあります。
治療には抗真菌薬の投与がおこなわれますが、鉄欠乏や葉酸欠乏も発症に関係しているとされているため、数値が低い場合には投薬を行って補正します。内服の他にも、必要に応じて口腔錠やうがい薬を使用します。
急性偽膜性から移行した慢性肥厚性カンジダ症の場合には、白い儀膜が厚くなって簡単にはとれなくなります。
抗真菌薬を投与しても治療に長期間を要することも多いため、外科的処置を選択する場合もあります。このような重度の口腔カンジダ症になってしまうような場合には、免疫の低下など体になにか異変が起こっていると考えるべきでしょう。
性器カンジダ症
性器カンジダ症のなかでも多いのはカンジダ膣炎ですが、これは感染する疾患ではないため、高齢者にも多く発症します。
他のカンジダ症と同じく、免疫の低下や常在菌のバランスの乱れによっておこることが多く、かゆみや炎症、白くドロっとしたおりものなどの症状があります。
治療には、膣座薬や軟膏を主に使用しますが、軽度であれば短期間で治癒することがほとんどです。膣の洗浄については、症状の改善には有効ではありますが、日常的に膣を洗浄することは逆効果であることが多く、おすすめできません。
まとめ
カンジダ症ってなに?常在菌が暴れるその理由とは?
カンジダ症ってどんな病気?
皮膚カンジダ症
口腔カンジダ症
性器カンジダ症