下肢静脈瘤は下肢の静脈に瘤ができる病気です。この病気自体は、直接的に生命を脅かすような病気ではありません。しかし、適切に治療していないと思わぬ事態に進行してしまうため注意が必要です。
今回は早期に 下肢静脈瘤 の治療を受けられるよう、症状 を詳しくご説明します。
症状からみた下肢静脈瘤
立ってみるとよくわかる下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は静脈の血液がうっ滞することで発症します。静脈は皮膚から透けて見えますが、下肢静脈瘤にあっては、ボコボコと瘤状に浮き出ることや静脈の走行に沿って浮き出ることがあります。特にふくらはぎを含めた下腿に好発し、もも(大腿)にも発症します。
下肢静脈瘤は本来、下肢の静脈血を心臓に送る経路であり、重力に逆らって走行します。よって寝ている状態では直接的な重力の抵抗がないので、静脈瘤が浮き出ることがほとんどありません。最も重力の抵抗があるのは立位ですので、立っている状態に静脈瘤が浮き出てきます。
しかし、人によっては極端に皮膚が薄い方だと静脈が浮き出ることがあります。こうした正常な静脈との違いとして、静脈瘤は血管の走行がクネクネと蛇行して浮き上がることが特徴です。
足がだるい、足の浮腫みは症状でもあり原因でもある
下肢静脈瘤の主症状でもある足のだるさや浮腫みですが、健常な方でもこの症状はあります。夕方ころになると症状が出現し、靴下を脱ぐとゴム痕がくっきり残ることなど、足が張っている状態となります。
原因としては長時間立っていることにより、血液に含まれる水分が血管外に漏出して細胞と細胞の間(組織間)に水が溜まるためです。
下肢静脈瘤は瘤状の静脈と足のだるさや浮腫みの症状で診断はほぼ確定しますが、健常者の方でも、足のだるさや浮腫みが増強してくる場合は、下肢静脈瘤となる可能性が高いので注意が必要です。
下肢静脈瘤は痛くない
下肢静脈瘤は見た目上ではボコボコと血管が浮き出ているため、痛みがあるように思えますが、下肢静脈瘤での痛みはほとんどありません。痛みが出現する仕組みとして、静脈瘤の中に血栓という血の塊が形成され、その血栓による炎症を起こし、痛みが出現することがあります。
これを血栓性静脈炎といい、静脈が赤く腫脹してしまう病気です。下肢静脈瘤は頻回に静脈炎を発症することが多く、皮膚障害の原因のひとつです。
足が痒いのは下肢静脈瘤の皮膚障害
足の痒みは、下肢静脈瘤の症状というよりか、下肢静脈瘤が起因の皮膚障害となります。足の痒みは皮膚の循環障害によるうっ滞性皮膚炎によるもので、湿疹を伴うものもあります。
重症化すると皮膚の色が紫色になる色素沈着となり、難治性の皮膚障害となります。痒みは薬剤による対処療法で軽快しますが、根治させるには下肢静脈瘤の治療が必要です。
思わぬ事態とは静脈性潰瘍
下肢静脈瘤が原因の皮膚障害を起こしている部位に傷をつくると、傷が回復せずに潰瘍(皮膚が掘れる状態)を形成してしまいます。これを静脈性潰瘍といいます。
創傷の回復には血流が重要な要素となりますが、静脈瘤のような血液の循環が悪い状態となると傷の回復に相当な時間を要します。思わぬ事態とはこの静脈性潰瘍のことであり、長期に渡る治療となるため、度重なる入院や処置のための通院治療が必要となります。
静脈性潰瘍は時間を奪う病気であり、社会生活に支障がでることがあります。
この静脈性潰瘍を避けるためにも、下肢静脈瘤による皮膚障害を起こさない段階で治療をする必要があります。皮膚障害が確認された状態で下肢静脈瘤を治療しても、皮膚障害の治癒には時間を要します。
下肢静脈瘤を肉眼的に確認ができたなら、早急に医療機関の診断を受けるべきです。
まとめ
症状からみた下肢静脈瘤
立ってみるとよくわかる下肢静脈瘤
足がだるい、足の浮腫みは症状でもあり原因でもある
下肢静脈瘤は痛くない
足が痒いのは下肢静脈瘤の皮膚障害
思わぬ事態とは静脈性潰瘍