椎間板ヘルニアとは突然の痛みからくるぎっくり腰と足のしびれ感を伴う症状をもつ病気です。ふつうの腰痛とは異なり 椎間板ヘルニア はしびれを伴うことが特徴的です。なぜ、突然の痛みとしびれを発症するのか、どのような 原因 によって発症するかを知ることは大切です。
あなたは椎間板ヘルニアの原因を知っていますか(前編)
なぜ、痛み・しびれがおきるのか
椎間板とは背骨にある24個の腰椎の間のクッションの役目をもつ軟骨であり、湾曲する背骨は首・胸・腰への圧力のバランスを分散させる働きがあります。椎間板である軟骨はゼラチン状の部分とコラーゲンからなる部分から構成されており弾力性があります。
軟骨の一部が何らかの理由で正常な位置から外で飛び出すことをヘルニアといい、飛び出した軟骨の一部が近くにある脊髄中枢神経又は末梢神経を圧迫する時に痛み・しびれの症状が起きる病気を椎間板ヘルニアと呼びます。
一般的に椎間板ヘルニアは腰椎の部位で発症することが多いのですが、頸椎(首の脊椎)の部位に発症することも稀にあります。腰椎で発症した場合の痛み・しびれは腰・下肢の部分ですが、頸椎で発症した場合は手の部分に痛み・しびれが起きます。
ヒトは二足歩行であることから常にこの椎間板には重力による圧力を受けていますが、日頃の生活の中ではその圧力が変化します。
座る・前かがみなどの姿勢の変化によって体重の約2.5倍の圧力が椎間板にかかります。この圧力が繰り返されることによって、椎間板にゆがみが生じて椎間板ヘルニアを発生すると考えられています。
椎間板ヘルニアを起こしやすい原因として考えられるのは大きく分けて「生活環境」「老化」「遺伝」の3つがあげられます。
生活環境が原因となる
日常の生活の中で椎間板への圧力が繰り返されるような次のような要因が椎間板ヘルニアの原因となります。
1) 背骨・腰に繰り返し負担をかける仕事・作業
- 長時間にわたって座って作業及び運転をする
- 中腰の状態で重いものを持つ・運ぶ
- ゴルフ・テニスなど腰を強くひねるスポーツを行う
2) 習慣的な悪い姿勢
長時間にわたる同じ姿勢を取り続けることが原因となりますので、次のような姿勢は避けてください。
あぐら座り
床などにあぐらで座ることは正座・横座りより負担がかかります。
高い椅子座り
膝が股関節より低い場合は腰への負担が大きくなります。
かがむ掃除機がけ
上半身をかがむ姿勢を続けることは腰への負担となります。
深く腰かけた運転姿勢
シートに深く腰かけて背中を密着させ、ペダルから足を離しすぎる姿勢は腰に負担をかけます。
悪い姿勢を繰り返すことによって、背骨・骨盤にずれが生じます、このずれを修正しようとして体にゆがみが生じてさらに骨盤のずれを起こし椎間板に圧力が加わるという悪循環に陥ります。猫背・О脚なども原因となります。
3) 筋力の低下
筋肉の中でも腹筋・背筋の力が弱っている状態で重いもの持った時などは腰への負担が大きくなります。
4) 太り過ぎ
体重増加は背骨のS字カーブを変性させることがあり、腰への負担をかけます。
老化・加齢が原因となる
1)椎間板の老化
椎間板は20歳を過ぎたころから、椎間板に含まれる水分が減少して、その弾力性を失っていきます。加齢に伴う弾力性の低下に伴い、日常生活の中でのちょっとした椎間板への衝撃・圧力によって重力に耐え切れずに椎間板が飛び出る椎間板ヘルニアを引き起こすことになります。
2)骨の老化
加齢に伴い骨に含まれるカルシウムの量が減少し、骨粗しょう症又は骨の変形を起こしやすくなります。このような時にちょっとした衝撃・圧力が骨にかかると骨が欠けて椎間板がつぶされる状態になり、椎間板ヘルニアを引き起こすことになります。
まとめ
あなたは椎間板ヘルニアの原因を知っていますか(前編)
なぜ、痛み・しびれがおきるのか
生活環境が原因となる
老化・加齢が原因となる