「アミラーゼの標準的な基準値と数値における健康状態について(前編)」では、アミラーゼー検査がどのような場合におこなわれるのかご紹介いたしました。後編では、 アミラーゼ が 基準値 よりも高い場合、また低い場合に疑われる疾患についてご紹介いたします。
アミラーゼの標準的な基準値と数値における健康状態について(後編)
アミラーゼ検査値が基準値よりも高い場合
血清アミラーゼは40~130(IU/L)、尿中アミラーゼは65~700(IU/L)が標準値とした場合に、高くても低くても異常値とみなされます。
基準値よりも高い場合に考えられる病気は
- 急性すい臓炎
- 急性胆のう炎
- 急性虫垂炎
- 化膿性耳下腺炎
- 唾液腺閉塞
- 腎不全
などがあげられます。
最も考えられる病気は急性すい炎で、基準値の数倍から30倍になることがあります。しかし、アミラーゼの数値の高さと重症度とは相関していません。
また、アルコール症や脂質異常症などを伴う場合は、急性すい炎でもアミラーゼの数値が高くならない場合もあるため、病気の特定は慎重に行わなければいけません。
アミラーゼ検査値が基準値よりも低い場合
尿検査や血液検査の結果、アミラーゼの検査値が基準値よりも低い場合には次のような病気の可能性があります。
- 慢性すい臓炎
- 流行性、中毒性肝炎
- 肝硬変
- すい臓や唾液腺の切除後
- 高度の糖尿病による高血糖
- すい外分泌不全
- すい臓癌末期
などです。
アミラーゼの数値が異常な場合の健康状態について
急性すい炎の場合は、腹部の鈍痛、激痛があり、胸部や背中にまで及びます。少し前かがみの状態で痛みが軽くなることがあります。悪心、嘔吐、食欲不振などもみられます。
原因としては、アルコールの摂り過ぎだったり、おたふくかぜなどが考えられますが、原因不明なことも多くあります。
慢性すい炎の場合は、急性すい炎と同様の症状がありますが、痛みのない場合があります。炎症が続くと、糖尿病や下痢、体重減少などがおこります。原因は、アルコール過多が多いです。
すい嚢胞の場合、嚢胞が小さい時には症状はありません。しかし、大きくなると、腹部に腫瘤がみられ、腹部膨満感、腹痛がおこります。
すい癌の場合、初期であれば症状がないので発見が遅れることが多いようです。食欲不振、全身倦怠感、黄疸、上腹部痛などがおこり、50~70歳の男性の発症が多くみられます。
すい臓に負担をかけない生活習慣を心がける
検査結果が出て、治療するほどではないけれども、すい臓が弱っている状態であれば、日頃の生活習慣を少し改めることで、すい臓の機能も改善する可能性があります。重大な病気になる前にすい臓に負担をかけない生活を心がけてみることが大切です。
注意することは、お酒を控える、可能な限り禁煙をする、脂っこいものを控えること、辛い物、カフェインなどの刺激物を控える、ストレスはためないようにする、定期的に人間ドックや健康診断を受ける、定期的な検査を受けるなどがあげられます。
すい臓の病気は早期発見が比較的難しい臓器です。そのために、発見されたときは深刻な状況や症状の場合も少なくありません。
ですから、人間ドックを定期的に受けることが大切です。また、規則正しい生活習慣を送ることで防ぐことができる場合もありますので、アルコールや暴食などはなるべく控えるよう努めることも重要です。
まとめ
アミラーゼの標準的な基準値と数値における健康状態について(後編)
アミラーゼ検査値が基準値よりも高い場合
アミラーゼ検査値が基準値よりも低い場合
アミラーゼの数値が異常の場合の健康状態について
すい臓に負担をかけない生活習慣を心がける