脚のむくみ はなぜ起きるのでしょうか。高齢者になるとさまざまな原因により脚のむくみが出現しやすくなります。歩きにくいだけでなく、痛みを生じることもある辛い脚のむくみについてご説明いたします。
脚のむくみの原因と基本の解消法(前編)
脚のむくみの確認方法
夕方、靴下を脱いだ時に靴下のゴムの部分の跡がくっきりとついていた経験をされたことがないでしょうか。
立ち仕事や椅子に座った時間が長くなると、重力で脚に血液が下がりむくみやすくなります。軽度であれば正しい解消法を実践することで、比較的早期に脚のむくみの改善が期待できるでしょう。
まずは、脚にむくみがないか確認してみましょう。一般的なのは、指の腹で脚のふくらはぎの皮膚を10秒ほど圧迫し、サッと指を離します。その時に押された皮膚の戻り方を観察します。脚のむくみが、ひどい場合にはすぐには戻らないのが特徴です。
全体的に脚にむくみが出ている場合には、わかりにくいこともあります。日頃の体重測定で極端な増加がみられた場合や一日の水分摂取量と排尿量でからも目安になります。
一般的に高齢者は、排尿の回数は増加する傾向にありますが、1回の排尿量は少ないのが特徴です。一日の排尿回数が6回から10回、1回の排尿量が100mlから150mlです。一日のトータルで700mlから1200mlが目安です。
排尿量が多すぎても、少なすぎても脚のむくみの原因になるので注意が必要です。
脚のむくみの原因
脚のむくみを引き起こす原因の主なものは、体を動かす機会が減り運動不足になることです。高齢者の場合は動かないでいるとすぐに筋肉量が低下します。人間は心臓がメインポンプで筋肉が補助ポンプの役割を果たし、体中の血液を循環する仕組みになっています。
加齢により生ずる臓器の機能低下に加えて、病気によるもの、栄養不足や塩分の摂り過ぎなどの生活要因によって、全身や脚にむくみが生じてきます。高齢者は、必然的にむくみやすくなると言っても過言ではないのかもしれません。
脚のむくみ症状が出る病気①
「脚のむくみ」が起こる心臓・肝臓・腎臓の病気をお伝えします。
慢性心不全は悪化すると他症状と脚全体のむくみが著明になります。足首もなくなるほどにむくみ症状がみられることもあり、痛みを伴うことが多いようです。胸部症状や呼吸苦はもちろんですが、ひどい場合に脚のむくみで4~5㎏も体重増加してしまう場合があります。
肝硬変は症状が進行してくると、腹部症状や手掌紅斑・尿の色や量の変化、脚全体が重たくむくみます。肝硬変は、血液内のアルブミン濃度が低下しむくみます。
腎臓の病気のネフローゼ症候群は顔や手、脚もむくみます。血圧の上昇や血尿もみられます。
急性糸球体腎炎も尿の出にくさを感じ、顔や手に続いて、脚もむくみます。
糖尿病性腎症は脚にむくみ症状が出ます。息苦しさや息切れを感じやすくなるのも特徴です。
脚のむくみ症状がでる病気②
続いて静脈・内分泌・栄養障害で「脚のむくみ」が起こる病気をお伝えします。
静脈瘤によるむくみは、脚の全体に起きます。だるさや重量感・痛みを伴います。ふくらはぎにできやすく、女性に多い病気です。
内分泌では、甲状腺機能低下症で目の周囲や顔や手、脚がむくみます。甲状腺ホルモンの分泌低下から悪寒や汗をかかないなどの症状が出ます。
栄養障害によっておこる脚のむくみは3つあります。メネトリエ病はウイルスによって胃からタンパクが漏れ出てしまう病気です。下痢症状が長く続いた後に、腹痛や吐き気・顔や脚、全身にむくみが出るようになります。
小さな幼児から大人に感染することもありますが、原因となるサイトメガロウイルスは大人ならほぼ感染しているウイルスのため、無症状で経過することがほとんどです。他にはピロリ菌などが原因となることもあるようです。
蛋白質漏出性胃腸症はクローン病や悪性リンパ腫などリンパ系の異常や毛細血管の透過性の亢進、消化管粘膜上皮の異常によって起こります。顔や脚、全身にむくみが出現し、腹痛や下痢・吐き気の症状がでます。
ビタミンB1欠乏症も手や脚にむくみやだるさや動悸・痺れなどが起こります。「脚気」というと馴染みのある呼び名かもしれません。欠乏によって末梢神経が侵されます。
まとめ
脚のむくみの原因と基本の解消法(前編)
脚のむくみの確認方法
脚のむくみの原因
脚のむくみ症状が出る病気①
脚のむくみ症状がでる病気②