アトピー咳嗽 は、喘息発作をともなわず慢性的に咳が続く疾患です。アトピー咳嗽は喘息の亜型ですが、喘息には移行しないといわれております。
アトピー咳嗽はアレルギーとの関係が示唆されており、喘息に効果がある気管支拡張剤の効果は不良で、抗ヒスタミン剤や気道のアレルギーを鎮める吸入ステロイド剤は効果があります。
アトピー咳嗽とは何?
アトピー咳嗽とは
アトピー咳嗽は、咳だけが慢性的に続く病気です。喘鳴がなく乾いた咳が1ヶ月以上続き、アトピー素因があることも特徴です。
アトピー咳嗽は気管の病気ですが、気管支拡張剤による気道可逆性は認めず、気道過敏性の亢進も認めません。しかし、咳感受性は亢進しており、咳がでやすい状態になっています。
今回は、アトピー咳嗽の原因、治療法などについてお話します。
アトピー疾患(喘息を除く)に罹ったことがある、アトピー疾患に罹った血縁者がいるなどのアトピー素因をもつ人はアトピー咳嗽になりやすい人です。アトピー咳嗽は、カビが原因で罹る人や閉経後の女性に多くみられます。
アトピー咳嗽の簡易診断基準は、①喘鳴や呼吸困難をともなわない乾性咳嗽が3週間以上継続、②気管支拡張薬が無効、③アトピー素因を示す所見や痰に好酸球の増加、④ヒスタミンH1拮抗薬・ステロイド薬で咳発作が消失することです。
アトピー咳嗽の治療には、抗ヒスタミン薬が処方されます。眠気をともなう薬にポララミン、レクリカ、タベジールなどが、また、眠気を抑えた薬に、アレグラ、アレジオン、サジテン、アゼプチン、セルテクト、ゼスランなどがあります。
抗ヒスタミン薬で効果がみられない場合は、ステロイド吸入を行います。ステロイド吸入が難しい場合は、経口ステロイド薬(プレドニソロン)を用います。ステロイド吸入薬にキュバールやフルタイドなどがあります。
アトピー咳嗽の症状
アトピー咳嗽の症状は、喘鳴や痰をともなわない咳が長引くことです。
その特徴は、喘鳴がない、8週間以上痰をともなわない咳嗽がある、アトピー素因(好酸球が多い、IgE値が高い、アトピー性皮膚炎などアレルギーの病気があるなど)がある、咳は夜から早朝に多い、今まで喘鳴、呼吸困難がなかった、エアコン、タバコの煙、運動、ストレスなどで咳が出る、咳感受性が亢進している、呼吸機能検査は正常であるなどです。
アトピー咳嗽の簡易チェック法
アトピー咳嗽の簡易チェック項目は以下のとおりです。
- アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患にかかったことがある
- アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患をもっている
- 血液中の好酸球が多い
- 血液中のIgE値が高い
- アレルゲンの皮内テストが陽性
- 卵白、ダニなどの特定のものに対するIgE値が陽性
咳喘息
咳喘息は気管支の疾患で、冷気、タバコの煙やストレスなどで咳がでます。あまり痰がでず空咳が長く続く病気です。就寝時に咳がでやすく不眠の原因になります。
咳喘息には、喘息で使用されるテオドール、メプチン、ホクナリンなどの気管支拡張剤を用います。咳喘息の約30%の人は、数年内に典型的な喘息を発症しますが、長期間のステロイド吸入療法は予防効果があります。
軽症の咳喘息の治療は、気管支拡張薬のみかロイコトリエン拮抗薬を併用します。中等症の場合は吸入ステロイドの併用、重傷は経口ステロイドの併用で咳嗽が消失します。
咽頭アレルギー
アレルギー素因を有する人において、咽頭に限局した原因にともなって生ずる咳嗽が咽頭アレルギーです。この疾患の症状は、咽喉頭異常感と執拗な咳嗽です。
急性あるいはアナフィラキシー型の咽頭アレルギーでは咽頭浮腫のため気道狭窄になる場合があります。このため、血管収縮薬・ステロイドの投与・吸入を行う必要があります。
慢性型の咽頭アレルギーではアレルギー性鼻炎の治療が行われています。
まとめ
アトピー咳嗽とは何?
アトピー咳嗽とは
アトピー咳嗽の症状
アトピー咳嗽の簡易チェック法
咳喘息
咽頭アレルギー