便秘は食習慣と運動の改善で対処しますが、それでも改善がみられない頑固な便秘には薬剤が用いられますが便秘薬にはさまざまな分類があり、それぞれ効果や働き方に違いがあります。
現在よく使われている 便秘薬 を6分類に分け、便秘薬の系統と効果をわかりやすく解説します。
系統別にみるよく使われる6種類の便秘薬
大腸刺激性便秘薬
大腸刺激性便秘薬は服薬する便秘薬の中では一番効き目が高い便秘薬です。市場規模も大きく便秘薬全体の7割を占めます。薬剤の形態は、錠剤やオイル、粉末と様々あります。
中でも近年開発されたジフェーノール系の便秘薬は、錠剤と液体があり液体は水やお茶に数滴たらして飲むことができ使いやすい便秘薬です。大腸を直接刺激して排便を促すため、服薬してから効果がでるまで8時間~12時間を要すため就寝前に服用する薬です。
効果は高いですが、腹痛をともない習慣になることもある便秘薬です。また、使う頻度が多くなると効き目が薄れてきて使用量が増えてくる心配もあります。長期間使用すると大腸が黒ずむ大腸メラノーシスを引き起こすこともあるため、使用は最小限にとどめたほうがいいでしょう。
潤滑性便秘薬
潤滑性便秘薬は便に水分を多く含ませることで便を柔らかくし、排便しやすくする便秘薬です。体内に水分が吸収されることを阻止してその分便の水分量を増やすため便秘薬と一緒に多めに水分をとるように心がけます。
大腸刺激性便秘薬ほど効果は大きくありませんが、おだやかに効く便秘薬のため便秘薬の使用が初めての人に処方されることが多い薬です。また、長期間服用できる便秘薬でもあります。
漢方薬
漢方薬は便秘薬の中でも一番効き目がおだやかな薬です。漢方薬は、個人個人で効き方に違いがあるため、その人の症状に応じた処方が必要になります。
効果を発揮するまで時間がかかることもありますが、激しい腹痛や体力を消耗する心配がないため、高齢者や体力が落ちている人に良く使われる便秘薬です。漢方薬は腸や便に直接作用するのではなく体質を改善することで便秘を治していく薬です。
便秘薬として流通しているセンナはマメ科の植物のため効き目が穏やかなように感じる人が多いですが、センナに含まれる下剤成分は体質改善ではなく腸を直接刺激することで排便を促します。そのため効果が強く激しい腹痛を引き起こすこともあるため使用するときは注意が必要です。
膨張性便秘薬
膨張性便秘薬は便の量を増やすことで、物理的に腸壁を刺激して腸の運動を活発にする便秘薬です。食物繊維や寒天、小麦ふすまなど水分によって膨らむ素材が主原料に使われていることが多いです。便のかさが増えるのでお腹が張ったり吐き気を感じたりする人もいます。
糖類下剤
糖類下剤は人工的な糖類のため小腸で吸収されず、大腸まで届いて作用する便秘薬です。便を柔らかくし排出しやすい状態にすることで便秘を改善します。糖類のため分解により乳酸になり腸内を酸性にして腸内環境を整える効果も期待できます。
人工的な糖類以外にも麦芽糖もあり麦芽糖は幼児にも使用することができる便秘薬です。
ポリカルボフィルカルシウム製剤
ポリカルボフィルカルシウム製剤は便秘と下痢の両方に効果を発揮する薬のため、便秘と下痢を繰り返す人によく処方される薬です。効果は強力な食物繊維を摂取したときと似ており、便秘の時は人工的に作られた繊維が便の量を増やします。
一方、下痢の時は人工繊維が水分を吸収しジェル状に便を固めます。便の状態に応じて働き方をかえる画期的な便秘薬として近年注目を集めている便秘薬です。
ただし、ポリカルボフィルカルシウム自体は体内に吸収されませんがカルシウム分が他の薬や疾患に影響を与えるため、高カルシウム血症や腎臓に疾患がある人は使用できません。
他の薬との飲み合わせも考慮する必要があるため使用を希望する場合は、専門医に相談のうえ使用することをおすすめします。
まとめ
系統別にみるよく使われる6種類の便秘薬
大腸刺激性便秘薬
潤滑性便秘薬
漢方薬
膨張性便秘薬
糖類下剤
ポリカルボフィルカルシウム製剤