高齢になるほど便秘の悩みを抱える人は増えていきます。食事、水分、運動などの工夫だけではどうしても無理、といった場合には便秘薬の出番です。便秘にも種類があることはご存知ですか?
今回は悩みに応じた おすすめ の 便秘薬 についてご説明します。
便秘のタイプ別、おすすめ便秘薬
食後の腹痛、コロコロ便
腸管が緊張して便がうまく運ばれない状態を痙攣性便秘(緊張性便秘)といいます。
ストレスや生活環境の影響で発生します。比較的男性に多くみられます。副交感神経の働きが過剰になり、腸運動が活発化して腸の内容物が正常に運ばれなくなります。
激しい腹痛はあるのに排便してもほとんど出ない、おなかの張った感じや残便感があります。便秘と下痢を繰り返すのも特徴です。
腸管が緊張により痙攣しているため、便を柔らかくして出しやすくするタイプの薬を選択してください。膨張性下剤や塩類下剤、潤滑性下剤などがあります。症状による苦痛の大きな場合には鎮痙剤も使用されます。
膨張性下剤は水分を吸収して保持し、腸の内容物を膨張させることで便のカサが増し、大腸を刺激して排便を促します。
塩類下剤には酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウムがあります。塩類の高い浸透圧で水分を吸収して腸管内の水分量を増やし、便を柔らかくして緩下作用を発揮します。たくさんの水で服用するのが効果的です。
習慣性がないので長期の服用が可能で使用されていますが、腎機能が低下している場合にはマグネシウムが体に蓄積してしまうため注意が必要です。潤滑性下剤は便の表面が腸に引っかからないようにして腸内の通過を助ける作用があります。
まずはストレスを解消し、規則正しい食事や睡眠をとって心身がリラックスできるように努める必要があります。不溶性食物繊維や脂っこいものなどの腸の負担になるものを避け、香辛料やアルコール、カフェインなどの刺激物も避けなくてはなりません。
細くてひょろひょろ、固い便
腸管の動きが悪くなるのが弛緩性便秘です。大腸壁の緊張が低下し、蠕動不足になります。高齢者や女性に多くみられますが、運動不足の男性にもみられがちで、日本人で最も多いタイプの便秘です。おなかの張りや残便感、食欲の低下などが症状としてあらわれます。
弛緩性便秘には腸管を動かす刺激性の下剤が選択されます。大腸刺激性下剤は大腸粘膜を刺激して腸蠕動を亢進させることにより排便を促します。
効果があらわれるまで6~10時間かかるので、朝に排便できるよう通常就寝前に服用します。副作用の少ない塩類下剤と併用することもあります。
出そうで出ない、ガスが溜まっている
排便反射が鈍くなることにより直腸性便秘となります。便意を我慢すること繰り返していると、直腸から脳へと便意を伝える仕組みが狂ってしまいます。
便が直腸まで来ているのに便意をもよおさないため、排便に繋がらず便が硬くなって溜まり便秘となってしまいます。残便感、おなかにガスが溜まって苦しいといった症状があらわれます。
直腸性便秘には坐薬、浣腸、膨張性下剤が使用されます。肛門のすぐ上の直腸に便が溜まっているため、下剤を飲むよりも坐薬や浣腸の方が解消されやすいです。浣腸は使用後すぐに効果があらわれます。市販の浣腸ではグリセリンの量やノズルの形などさまざまな種類があります。
浣腸が苦手な人や寝たきりの人は座薬を使用します。坐薬は発生する炭酸ガスにより直腸内を刺激して排便を促す仕組みになっているので浣腸より作用が穏やかで、数分~30分程度で効果があらわれます。浣腸も坐薬も習慣になると効きにくくなるので注意が必要です。
ガスによる張りが苦しい時には消化管内ガス駆除薬も用いられます。
器質性便秘の場合は、下剤は禁忌
急な便秘は消化管の通過障害によるものかもしれません。腸閉塞や大腸癌などの腸に原因のある場合の便秘を器質性便秘といいます。
便に血液や粘液が混ざる、激しい腹痛や嘔吐などの症状があらわれることもあります。腸に穴が開く可能性もあるので自己判断で下剤を使用することは避け、すみやかに病院を受診してください。
自分の便秘がどのタイプにあたるのか症状を医師に相談して、適切な薬を服用してください。
まとめ
便秘のタイプ別、おすすめ便秘薬
食後の腹痛、コロコロ便
細くてひょろひょろ、固い便
出そうで出ない、ガスが溜まっている
器質性便秘の場合は、下剤は禁忌