「膀胱がんは怖くない!でも、油断しないで!(前編)」では、膀胱がんがどのような病気なのか、そしてどのような症状があらわれるのかご紹介しました。
後編では、なぜ 膀胱がん になるのかその理由や気になる膀胱がんのステージについてご紹介致します。
膀胱がんは怖くない!でも、油断しないで!(中編)
膀胱がんの原因
ほとんどの成人病に関係しているのがタバコです。ご多分に漏れずに、膀胱がんの原因になっているのもタバコです。
統計分析では、喫煙している人が膀胱がんにかかる割合は、吸わない人に比べて4倍になっていますし、過去に喫煙経験がある人は、膀胱がんになる割合が2.3倍高くなっているそうです。
膀胱がんと喫煙は関係がないと見られがちですが。実は、タバコの煙に含まれる発がん物質は、尿中に凝縮されて膀胱の内腔粘膜に付着されることで、膀胱がんの発症の関係するとの機序が明らかにされています。
実際に、膀胱がんの患者さんの50%は喫煙がもとになっているとのデータが出ています。その他にもいくつかの原因分析が出されていますが、必ずしも疫学的な研究成果としては出ているわけではありません。いずれにしても、タバコの吸いすぎには、十分注意する必要があります。
膀胱がんの検査と診断
膀胱がんの診断のためには、まずは尿検査・尿細胞診検査を行います。これは、肉眼では視認できない潜血反応の陽性、そして顕微鏡的血尿を検査します。肉眼で視認できる血尿の場合は、尿細胞診をすることで、尿中に浮遊する腫瘍細胞を確かめます。
腹部超音波検査では、膀胱内に尿を貯めて内部を診ます。身体に対して侵襲がないので、患者さんも苦痛を感じることなく、検査を受けることが出来ます。
膀胱がんが疑われた場合、必須の検査が膀胱鏡検査です。膀胱鏡検査は膀胱内の腫瘍の有無を診るために、尿道から内視鏡を挿し入れ膀胱内部を隈なく観察します。これによって、膀胱がんのタイプも分かりますし、診断後の治療の段取りを決めるのに最適な情報が得られます。
CT検査・MRI検査では、膀胱がんの遠隔転移の有無や、直近の内臓への転移を確かめると同時に、内視鏡検査と合わせて治療方針を決めるのに役立てます。
膀胱がんのステージ
膀胱がんのステージにはいろいろな分類方式がありますが、広くはTNM分類法が導入されています。T:局所のがんの進展度合い。N:所属リンパ節への転移有無と拡がりの範囲。M:遠隔転移の有無。この3つの分類でステージを表わしています。
局所におけるがんの進展度合い
Tis : 内腔上皮内がん
Ta : がんが粘膜内に限局して、浸潤なし。 (表在性がん)
T1 : がんが粘膜下結合組織まで浸潤している。(表在性 性がん)
T2 : がんが膀胱筋層まで浸潤している。 (浸潤性がん)
T3 : がんが膀胱筋層を越え、周囲脂肪組織に拡がっている。(浸潤性がん)
T4 : がんが前立腺、子宮、膣、骨盤壁、腹壁など隣接臓器に浸潤している。(浸潤性がん)
N:所属(骨盤内)リンパ節転移の有無と程度
N0 : 所属リンパ節に転移はない。
N1 : 2cm以下の1個の所属リンパ節転移を確認する。
N2 : 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移を確認する。
または5cm以下の所属リンパ節転移が複数個あるのを確認する。
N3 : 5cmを超える所属リンパ節転移を確認する。
M:他の臓器への転移の有無
M0 : 他の臓器への転移はない。
M1 : 他の臓器への転移がある。
膀胱がんのステージ分類はこれらの組み合わせで表現されます。
後編では膀胱がんの治療法についてご紹介いたします。
まとめ
膀胱がんは怖くない!でも、油断しないで!(中編)
膀胱がんの原因
膀胱がんの検査と診断
膀胱がんのステージ