「膀胱がんは怖くない!でも、油断しないで!(中編)」では、膀胱がんの原因や検査方法、そして膀胱がんのステージについてご紹介致しました。
後編では、 膀胱がん の治療方法についてご紹介致します。また、膀胱がんと上手に付き合う方法もあわせて記載致しますので参考にしてください。
膀胱がんは怖くない!でも、油断しないで!(後編)
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膀胱がんの治療
膀胱がんの治療は外科手術が基本にあります。その手術法は2つあります。一つは表在性がんに対しての経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)と、浸潤性がんに対しての膀胱全摘手術です。
経尿道的膀胱腫瘍切除術
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)は膀胱内に膀胱内視鏡を挿し入れ、がん組織に対して電気メスで切除します。腰椎麻酔に40分、実際に切除する時間は30分~40分で、一時間強で手術は終わります。
手術後は膀胱内を安静に保ちます。カテーテルを挿入したままにして尿の排泄を促します。普通は2,3日でカテーテルは外すことが出来ます。その間、結構出血がありますので、抗生物質や止血剤を点滴注入します。
膀胱全摘手術
膀胱全摘手術は経尿道的膀胱腫瘍切除術では対応できない浸潤性がんに対して行われます。
基本は全身麻酔で、骨盤内のリンパ節廓清と膀胱を切除・摘出します。男性は前立腺、精嚢を、女性は子宮を対象にします。
その後は、膀胱の代わりになるような尿路変更術を適用して、人工膀胱の取り付けをいたします。
放射線療法
浸潤性のがんに対して行います。手術では膀胱を摘出し、尿路変更などを行いますので、抵抗感を持つ患者さんがいるのは当然のことです。それを拒否する患者さんのために放射線単独、もしくはそれに化学療法を組み合わせて治療することで、膀胱を温存しようとするものです。
抗がん剤療法
遠隔転移したがんは手術も放射線も対応することが出来ないので、抗がん剤を用いることになります。抗がん剤はM-VAC療法と言って、(メソトレキセート、ビンブラスチン、アドリアマイシン、シスプラチン)などの組み合わせが適用されています。
ただし、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎などの副作用が強く起きます。また、転移が見られないがんにも抗がん剤治療が導入され、新しくタキソール、ジェムシタビンが抗がん剤として使われるようになっています。
BCG、抗がん剤の膀胱内注入療法
膀胱がんステージのTa、T1の表在性がんに対して、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を行った後、膀胱の中にBCGや抗がん剤を注入します。週に一度、6週間から8週間にわたって行います。再発予防のためにもこの療法を続けることが大切になります。
膀胱がんとは上手に付き合う
膀胱がんは再発がしやすいため、定期的に検査・治療が必要になります。担当の先生とも長く付き合うつもりで、焦らない態度が大事になります。
なお、生存率ですが、表在性のがんでは致命的なことは起こりませんが、5年生存率はT1で95%、T2で80%、T3で40%、T4で25%となっていますが、もちろん個人の状況によって変わってきます。
抗がん剤も開発されていますので、これらの成績も格段の進歩を見せるに違い合いません。
膀胱がんは10万人当たり16人ぐらいの罹患率と言われていますが、ますます高齢化が進むにつれて、この罹患率はもっと上がって行くのは確実視されています。
膀胱がんは内科的な病気とは違って気が回らないことが多いのですが、いざ自覚症状が出た時は、病気がかなり進んでいる場合がありますので、日常的に自分の尿を観察する習慣をつけるようにしたいですね。ちょっとした神経の使い方が、浸潤がんから遠ざかることになります。
まとめ
膀胱がんは怖くない!でも、油断しないで!(後編)
膀胱がんの治療
膀胱がんとは上手に付き合う