「膀胱がんの闘病記は がんの進行度によって内容が大きく異なります(前編)」では、膀胱がんの説明を致しました。後編では、 膀胱がん のステージと 闘病記 の読み方を解説致します。
ステージにより闘病記はさまざまですので、ご自分にあった闘病記を参考とするようにしましょう。
膀胱がんの闘病記は がんの進行度によって内容が大きく異なります(後編)
- 目次 -
膀胱がんのステージ
膀胱がんの闘病記を見る時に重要なことは、その人のがんのステージです。がんの進行度がどの段階にあるか、ということを予め知っておくことが重要です。
膀胱は、内側から、粘膜上皮、粘膜下層、筋層、脂肪といった層に分けられます。一番外側が脂肪です。厚みはおおよそ6mmくらいあります。
腫瘍が粘膜の上皮で留まっている(ステージTis)、腫瘍が大きくなっているが粘膜に浸潤していない(ステージTis)、腫瘍が粘膜下層までで留まっている(ステージTa)。ここまでが表皮性がんと言います。
大部分の人がこの状態で発見される場合が多く、手術によって悪性腫瘍を完全に除去すれば根治する可能性が大で、5年生存率も高い数値を示しています。
そして、腫瘍が筋層の中まで浸潤(ステージT1)して、筋層の中間まで浸潤(ステージT2)、さらに膀胱壁を貫通(ステージT3)し、隣接する臓器まで及んだ(ステージT4)状態を浸潤性がんといいます。
筋層を超えて、浸潤し、膀胱壁を貫通し、他の臓器に及んだ状態のがんは末期がんとなる場合が多いです。
膀胱がんの闘病記の見方
こうした膀胱がんのステージの内容を予め情報として持っておくと、闘病記が深く理解できます。膀胱がんの闘病記の内容は大きく分けて、3つに大別できます。
1つは上記ステージのTaまでの表在性膀胱がんの人達の闘病記。浸潤を伴わないがんのため、手術は全身麻酔の下で膀胱鏡(膀胱用の特殊な内視鏡)により電子メスを駆使してがんが除去されます。5年生存率は95%ですので、ほとんどの人は治るわけです。
従って、闘病記も少なくとも死に直面した切迫した内容のものは、ほとんどありません。とは言ってもがんに対する心配は普通の人には分かりません。闘病記を見ることによって、その心配や不安を少なからず和らげる効果は十分あります。
2つ目はステージT1、T2、T3の浸潤性膀胱がんの人達の闘病記。闘病記としては一番多いと思われます。手術後は生活ががらりと変わるため、厳しい闘病記です。膀胱は全摘手術となり術後に下腹部に尿の排出(ストーマ)を造設して、尿路変更が行われます。
前立せんと精嚢も一緒に除去されます。射精ができなくなります。女性は子宮も除去されます。5年生存率は40%から80%で術後も抗がん剤などの化学療法や放射線治療、免疫治療などが行われます。
このステージでは人によって様々な治療法が行われていますので、闘病記もそれぞれ内容が多岐に亘っています。手術を受けるまでの不安や苦悩、術後の生活の変化、苦痛などが如実に記述された闘病記となっています。闘病記は大きな精神的な支えとなります。
3つ目は膀胱がんの末期がんの人達の闘病記。膀胱がんが浸潤し他の臓器に転移した人達(ステージT4)、壮絶さを超えた厳しい闘病記です。抗がん剤治療、放射線治療、免疫治療、先進治療などあらゆる治療が行われます。
しかし一方で終末医療を考えた治療方法、また治療を拒否する人達もいます。それでも5年生存率は0ではありません(25%)から、懸命に努力される患者と医師の葛藤が見られます。闘病記は大変参考になります。
まとめ
膀胱がんの闘病記はがんの進行度によって内容が大きく異なる(後編)
膀胱がんのステージ
膀胱がんの闘病記の見方