COPD 患者の 看護 ケアには、禁煙指導、呼吸リハビリテーション、運動・薬物療法の効果的実施の援助、自覚症状の改善、QOLの向上、運動耐容量の維持・向上などが重要項目になります。
看護観察項目としては、気道のクリアランス、呼吸困難の緩和、ADLの維持、栄養管理、心負荷軽減の援助、精神的サポート、環境調整などがあります。
COPDとは何、その看護は?
COPDとは
COPDとは慢性閉塞性肺疾患のことで、主にタバコ煙、有毒な粒子やガスの長期吸入暴露による肺の炎症性疾患をいいます。COPDは進行性の気流閉塞(制限)を呈します。
気流閉塞は、慢性気管支炎からの末梢気道病変と肺気腫などによる気腫性病変が複合的に作用することで起こります。肺の末端気道に慢性的な炎症が生じ気道が狭くなったり、肺胞が破壊され十分な換気量が得られなくなります。
換気が正常でない場合は過膨張となり、息の吸い込み力が低下します。この状態が重症化すると、低酸素血症に高炭酸ガス血症をともなうII型呼吸不全になります。
今回は、COPD治療における看護についてお話します。
COPD患者に対する看護計画は、この計画に理解を深め、適切なケアを実施することを目標とします。看護観察項目には以下のような項目があります。
呼吸器症状
呼吸困難、喀痰、喘鳴、呼吸回数、慢性的咳嗽、胸部レントゲン所見、酸素飽和度、呼吸補助筋緊張の有無など
低酸素血症
呼吸困難、酸素飽和度、動脈血液ガスデータなど
高二酸化炭素血症
意識障害、呼吸回数・深さ、頭痛・睡眠、頭呆感、呼吸抑制、発汗、羽ばたき振戦、動脈血液ガスデータ、カプノメーターなど
感染兆候
発熱、痰の増加、咳嗽、WBC、CRP、胸部レントゲン所見など
右心不全
全身倦怠感、食欲低下、呼吸困難、呼吸音、呼吸回数、心拍数、尿量、浮腫、頸動脈怒張、胸部レントゲン所見、心電図所見など
全身炎症性
全身倦怠感、呼吸困難、不安、抑うつ、睡眠障害、不眠、体重減少、狭心発作、圧迫骨折など
患者・家族の病状理解
COPDの原因
COPDの原因は、喫煙、受動喫煙、大気汚染、呼吸器感染、職業上の粉塵や化学物質などの外因性危険因子と遺伝性疾患であるα1-アンチトリプシン欠損症の内因性危険因子があります。喫煙者のCOPD発症率は約15%とされています。
COPDの症状
初期には自覚症状があまりなく、悪化にともない呼吸困難の症状が発現します。COPDの主訴は、労作時の呼吸困難、チアノーゼや慢性の咳嗽・喀痰などです。慢性気管支炎は湿性咳嗽が、また、肺気腫は乾性咳嗽が出現します。
肺の過膨張による胸郭の変形、呼吸音の減弱、呼吸時の喘鳴聴取などの症状もみられます。肺胞におけるガス交換障害で酸素ヘモグロビンが減少し、還元ヘモグロビンが増加します。毛細血管内の還元ヘモグロビンが5g/dL以上になるとチアノーゼが生じます。
食欲不振や呼吸補助筋の運動量増加から消費エネルギー増加になり、体重の減少がみられます。COPDの患者は1年に何度かは急性憎悪の状態になります。体力低下や風邪・インフルエンザなどの感染症は急性憎悪のきっかけになりますので注意が必要です。
COPDの憎悪では、閉塞性換気障害が強くなり、酸素と炭酸ガスの交換が正常に行えず、炭酸ガスナルコーシス状態になることがあります。
COPDの診断・検査
COPDは気流制限を有するため、呼吸機能検査により閉塞性障害の検索をおこないます。気管支拡張薬吸入後、FEV1%(1秒率)70%の場合は、閉塞性障害があります。質問票(MRC、CCQ、IPAGなど)による客観的評価も行われます。
肺気腫・気道病変を診断する胸部X線検査、COPDの病期分類に有用な高分解能CT検査、運動負荷試験、呼吸筋検査、睡眠時検査、動脈血ガス分析、肺高血圧症と肺性心の評価なども実施されます。
COPDの治療
禁煙指導、薬物療法や呼吸リハビリテーションがCOPD患者の症状や運動耐容能の改善をもたらし、患者のQOLや予後に好影響を与えています。
COPD患者の管理目標としては、症状・運動耐容能の改善、QOLの改善、憎悪の予後と治療、疾患の進行抑制、全身併存症・肺合併症の予後と治療、生命予後の改善があります。
急性期憎悪時の治療には、低酸素血症の改善、抗コリン薬、β2刺激薬、メチルキサンチンの気管支拡張薬による気道閉塞の改善、抗生物質での感染コントロール、循環不全対策や利尿剤の投与などによる右心不全の改善があります。
まとめ
COPDとは何、その看護は?
COPDとは
COPDの原因
COPDの症状
COPDの診断・検査
COPDの治療