大腸がんは他臓器に転移しても、手術により数十パーセントは治るといわれます。また、大腸がんに罹患した人で、腹膜播種の人は5%前後いるようです。 大腸がん による 腹膜播種 は、肝転移に次いで頻度が高く、約10%の割合になるようです。腹膜播種は、直腸より腹膜と隣接し、盲腸や上行結腸などの結腸がんで多発します。
また、手術により完全に除去することができないため、抗がん剤による化学療法が行われます。
大腸がんによる腹膜播種―これって何?
大腸の機能とがんの発生
消化吸収の最終的な消化管が大腸で、水分を主に吸収し、固形物を排泄の状態に維持します。盲腸、結腸、直腸、肛門で構成されています。
大腸がんの罹患頻度は男女ともほぼ同じで、60歳後半にピークがあり、その発生は遺伝的素因よりも環境因子の方が寄与は大きいと言われています。
食事中の発がん性物質により腸粘膜の遺伝子に傷がつくこと、また、肥満の男性では、脂肪細胞は内分泌細胞と同様、細胞分裂を促すホルモン擬似物質や細胞増殖因子を分泌し、発がん性を高めます。
さらに、喫煙者やアルコールを多く摂取する人は、そのリスクが高まります。
今回は、主に大腸がんと腹膜播種の転移がんなどを紹介します。
大腸がんは粘膜で発生し、増殖し、転移によって全身に広がります。原発巣と転移巣があります。がんの広がり方には、浸潤、リンパ・血行性転移、腹膜播種があります。
がんが腸壁を破壊しながら周囲の臓器に広がる浸潤、リンパ管に移行したがん細胞がリンパ節で増殖するリンパ行性転移、大腸から他臓器で増殖する血行性転移、種が播かれるように他臓器で増殖する腹膜播種があります。
腹腔内のがん細胞が増殖し、がん性腹膜炎に至ることがあります。日本人に多い大腸がんはS状結腸がんと直腸がんです。転移・再発がんでは、それ以上の進行を止めることです。
がんのタイプや患者の体質などによっても増殖速度に違いがみられます。がんに対する免疫力やがん抑制遺伝子などの研究が、鋭意進められています。
大腸がん
大腸粘膜から大腸がんは発生し、その発生経路は2つあります。良性の線種(ポリープ)ががんになる場合と、正常な粘膜から直接、がんが発生する場合です。
大腸がんは増加傾向にあり、その発生には環境因子や遺伝的素因の関与、メタボリック症候群との関連なども示唆されています。
大腸がんによる腹膜播種の分類とその評価
大腸がん腹膜播種の進行度は、最も進んだstageIVであり、大腸がん研究会の「大腸がん取り扱い規約」では、その病状に応じて、P1~P3の3段階に分類されます。
TNM分類では腹膜播種があれば複数臓器転移と同様M1bに区分されて、stageIVBに分類されています。
大腸がん腹膜播種の分類は以下のとおりです。
大腸がん取扱い規約の分類
- 予後の相違に相応する証拠が存在
UICC/AUCC-TNM分類
- 原発巣の大きさ・進展度、転移状況、遠隔転移の有無を指標としています。腹膜播種に対する治療方針に温度差
Peritoneal cancer index(PCI)とSimplified PCI
- 客観性や再現性が良く、生存率と相関し、予後や死亡リスクの予測に有効
Gillyの分類
- PCIと併用
大腸がんの治療法
大腸がんの治療には、内視鏡治療や外科療法、放射線療法、化学療法などがあり、各ステージによって治療が異なります。手術可能なステージでは外科療法が標準となります。早期がんであれば内視鏡治療で切除が可能です。
放射線療法には、腫瘍サイズの縮小と症状の緩和や延命を目的とした場合があります。また、化学療法には、術後の再発予防とQOLの向上と生存期間の延命があります。
大腸がんとPET-CT
腹膜播種に対する高い治療効果は、P1状態で発見することです。腫瘍がかなり大きかったり、大腸壁に潜り込んだり、腫瘍マーカーの数値が高いにもかかわらず肝臓、肺に転移がなければ腹膜播種を疑います。この場合は画像検査のPET-CTが有効となります。
末期がんの症状と治療法
末期がんの症状は転移した部位によって異なります。脳への転移では、頭痛・めまい、吐き気などの症状があらわれ、肺に転移した場合は、肺がんに似た症状を呈します。肝臓ではかなり広がってから症状があらわれ、食欲不振、倦怠感、体重減少や黄疸などがみられます。
腹膜播種が起こると、腹痛、腹部膨満感、全身倦怠感、発熱などを生じます。胸膜播種では、胸痛や呼吸困難を起こすことがあります。主な治療法として、手術、薬物療法、緩和ケアや対症療法などが実施されます。
まとめ
大腸がんによる腹膜播種―これって何?
大腸の機能とがんの発生
大腸がん
大腸がんによる腹膜播種の分類とその評価
大腸がんの治療法
大腸がんとPET-CT
末期がんの症状と治療法