大腸は消化・吸収を担う大切な器官です。そのため食べ物の影響を受けやすい器官でもあります。
大腸がん になり、手術をしたあとや化学療法などの治療中の 食事 にはどんなことに気をつける必要があるでしょうか?好ましいもの、避けるものなどについてまとめました。
大腸がん手術後の食事は何に気をつけるべきでしょう
大腸がんの治療法
大腸がんが発見された場合にとられる治療法は、一般的にはがんの進行度によって決められます。ステージ0といわれる軽度のものからステージⅣといわれる重度のものまで、患者さんの状態やがんの進行度にあわせて、それぞれ適切な治療が行われます。
主な治療法には内視鏡治療、外科手術(腹腔鏡下手術、開腹手術)、化学療法、放射線療法などがあります。また再発防止のため、手術後に化学療法や放射線療法を組み合わせて治療が行われることもあります。
大腸がんの食事療法
意外に思われるかもしれませんが、大腸がんの治療には、基本的には特に食事制限がありません。食べてはいけないものなどの指示がないことから、かえって「どんな食事が良いのか」がわからずに悩む方がいらっしゃいます。
基本的には、一般的に考えられている「からだに良い」食事をとるのが良いとされています。つまり暴飲暴食をせず、1日3食、規則正しく栄養バランスのとれた食事をとることです。
ただし、やはり気をつけたほうがよいこと、できれば控えるほうが望ましいものもありますので、治療法ごとに紹介します。
内視鏡治療後の食事について
原則的には食事制限はありません。ただし大腸に負担がかかるのは、やはり良くありませんので、ニンニクや唐辛子などといった刺激物は控えたほうがよいでしょう。基本的には規則正しく、ゆっくり食べることを心がけてください。
外科手術後の食事について
食べてはいけないものは特にありません。ただし手術により、大腸がダメージを受けています。大腸は消化器官の最終部にあり、胃や小腸で栄養を吸収した食物のカスから、さらに水分を吸収して大便を作る器官です。
外科手術により傷ついた大腸は、本来の動きが弱っています。水分の吸収が不十分で下痢を起こしやすくなったり、蠕動運動が阻害されて便秘になりやすくなります。
また、回復するまでの約3か月間は、小腸や大腸の癒着による腸閉塞も発症しやすくなります。そのため、避けたほうが良い食品があります。ごぼうやタケノコといった食物繊維が多い食べ物や消化の悪いもの(油の多い揚げ物など)はできるだけ控えましょう。
手術後すぐは柔らかく煮たり、茹でる調理がされたものが好ましいとされています。腹6~7分めを目安にして、食べすぎは禁物です。食事は規則的にとるように心がけ、ゆっくり良く噛んで食べることが大切です。
食事量も徐々に増やしていき、刺激物やアルコールなども、当面は控え、時間をかけて、ゆっくりともとの食事に戻していくように気をつけてください。
化学療法(抗がん剤)時の食事について
食事の制限は特にありません。大腸の働きを妨げるストレスや睡眠不足に気をつけて、ゆっくりと楽しい食事を心がけてください。抗がん剤の副作用で吐き気がしたり、食欲不振になることもあります。
無理をせず、ゼリーや果物など食べられるものを口にしましょう。また、脱水症状を予防するためにスポーツ飲料やスープなどで水分とミネラルの補給を心がけてください。
食事の内容だけでなく取り方にも注意しましょう
消化吸収の良いものを食べる、刺激物を避けるといった食事の内容に気をつけることも重要ですが、食事のとり方にも気をつける点があります。
- 規則正しく食事を取りましょう
- 寝る前に食事を取らないようにしましょう
- 食べすぎ・飲みすぎはせず、腹8分目を心がけましょう
- ゆっくりとよく噛んで、時間をかけて食事しましょう
禁忌の食品がないことから、ついつい発症前の食事様式に戻りがちですが、同じ状態が続けば、再発のリスクも高くなります。からだに良い食生活を取り入れ、リスクを減らしましょう。
まとめ
大腸がん手術後の食事は何に気をつけるべきでしょう
大腸がんの治療法
大腸がんの食事療法
食事の内容だけでなく取り方にも注意しましょう