大腸がん は発見されたときの進み具合で5段階に分けられます。そして癌の浸潤の広さと深さ、リンパ節への転移、他の臓器への遠隔転移といった3つの要素を組み合わせることによって ステージ (病期)が決められます。
ステージごとに治療も決まっていてそれぞれステージ0からⅠ、Ⅱ、Ⅲa、Ⅲb、そしてステージⅣ呼ばれています。ここではその6つのステージについて説明していきます。
大腸がんとステージについて
大腸の組織と構造
大腸がんのステージのことを理解するためには、まずその組織と構造について知らなければなりません。大腸の片方は小腸に繋がっていてもう一方は肛門へと続いています。
小腸側から順番に盲腸、結腸、S状直腸、直腸と呼ばれ、そのほか大腸をとりまく血管やリンパ管、神経などがあります。構造は一番内側の粘膜から外に向かって粘膜→粘膜筋板→粘膜下層→固有筋層→漿膜下層→漿膜の6つの層になっています。
大腸がんはまず一番内側の粘膜にできます。そしてそこからの浸潤の具合によってステージが決められているのです。
ステージと5年生存率
5年生存率とは癌の患者さんで治療を始めた人のうち開始してから5年後に生きている人の割合を言います。大腸がんの場合、再発が確認されるのは術後5年以内の人が95%と多く、5年たってからの再発はほとんどみられません。そのことから治療の目安とされています。
しかしながら全ての人の場合に当てはまる訳ではありません。違う病気で亡くなったり再発後の治療中の人も含まれます。あくまでも一つの目安であるということです。
ステージ0
大腸壁の一番内側の粘膜にできた腫瘍がまだ粘膜内に留まっている状態です。この段階で発見し治療を始めますと94%の人が5年後も生存しています。
ステージⅠ
がんが固有筋層にまで浸潤していますが固有筋層内で留まっている状態です。ステージ0の場合と比べ生存率は少し下がりますが、それでも90%以上の人が治っています。ここまでを通常、早期発見と呼んでいます。
手術は内視鏡などで行われますが、大腸壁への浸潤が深いと判断された場合は取り残しやリンパ節への転移の可能性があるため開腹手術によって病変部の大腸と付近のリンパ節を切除します。
ステージⅡ
固有筋層を越え周囲への広がりが見られる状態です。やはり手術により病変部の大腸と転移の可能性が考えられる範囲のリンパ節を切除します。5年生存率は80%とされています。
ステージⅢa
3つ以下のリンパ節へ転移している状態です。手術により浸潤部分を含む周囲と転移の可能性があるリンパ節を切除します。5年生存率は65%と低くなっています。
ステージⅢb
4個以上のリンパ節に転移しています。病変部分を含む大腸と転移の可能性のあるリンパ節を切除します。
ステージⅢa の場合もそうですが手術によって採取した組織を調べ、リンパ節への転移が認められますと再発防止のために化学療法(抗がん剤など)を続けるよう勧められます。約60%の5年生存率です。
ステージⅣ
肝臓、肺、腹膜など他の離れた場所にも転移が見られる状態です。大腸の病変部を取り除いても他の臓器に癌が転移しているため、そちらの手術もしなければなりません。
転移の具合によっては手術しても無駄だったり手術できないことがあります。手術以外の化学療法を勧められる場合があります。5年生存率は13%です。
以上のことから、いかに大腸がんは早期発見が大事であるかがわかります。大腸がんに限らず全ての癌に言える事ですが、予防のための検診を進んで受けるか受けないかがその人の一生を大きく作用するといっても過言ではありません。
内視鏡での定期的な検診を受けることが大腸がんには最良の予防であり治療でもあるのです。
まとめ
大腸がんとステージについて
大腸の組織と構造
ステージと5年生存率
ステージ0
ステージⅠ
ステージⅡ
ステージⅢa
ステージⅢb
ステージⅣ