大腸癌 の進行度は ステージ でわけられます。このステージをわけるための基準は日本で使われているものや国際的に使われているものなどいくつか存在します。
今回は日本で主に使用されている「大腸癌取り扱い規約」に基づいたステージの分類方法をご紹介します。
知っておきたい「大腸癌のステージ分類方法」
大腸癌のステージ分類
大腸癌をステージ分類する際、日本のきまりでは大腸癌研究会が作成した「大腸癌取り扱い規約」を参考にわけられることが多いといわれています。
一方で、海外では主に国際対癌連合(UICC)が作成したTNM分類や、イギリスのデュークスという方が作成したデュークス分類を参考に分類されることが多いといわれています。
種類はいくつかありますが、いずれの分類にしても癌の深さとリンパ節転移、遠隔臓器への転移状況これら3つの要素を用いて0、Ⅰ、Ⅱ、ⅢA、ⅢB、Ⅳの6段階で病気の分類をすることになっています。
これから、3つの要素について詳しくご紹介しますが、これは「大腸癌取り扱い規約」の内容になっています。
壁深達度(深さ)
大腸癌がどれだけ深く体内に根付いているかを示す要素です。壁深達度は6つに分類することができます。
まず一番浅いレベルは「M」であらわされます。これは、癌が粘膜内でとどまっており、粘膜よりも下の層に及んでいない状態です。次に「SM」は、粘膜下層まで浸潤していますが、固有筋層まで達していない状態です。
「MP」は癌が固有筋層内まで達してしまっている状態です。固有筋層を超えてしまうと、「SS」や「SE」、「SI」へと分類されます。この3つの違いは漿膜表面へ癌が露出しているか、そうでないか、多臓器への転移がみられるかです。
「SS」の場合は漿膜表面への露出はなし、「SE」の場合はあり、「SI」の場合は直接多臓器に転移が見られます。
分類には一部例外があり、下部直腸には漿膜がありませんので、癌が固有筋層を超えてっしまっている場合には「A」と表し、多臓器へ転移がみられる場合には「AI」と分類されます。
リンパ節転移
リンパ節への転移の有無や転移の度合いを5つに分類することができます。
まず、転移がみられない場合は「N0」と表します。転移がある場合には転移がおきている数や場所で分類が変わります。腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移の数が3個以下の場合には「N1」、4個以下の場合には「N2」とわけられます。
さらに転移が遠くへ広がり、主リンパ節または側方リンパ節に転移を認められると「N3」、これよりも遠いリンパ節への転移が見られると「M」とわけられます。
他臓器への転移
大腸からほかの臓器への転移がみられる場合には3つに分類されます。腹膜に転移がみられるものは「P」に分類されます。
次に、肝臓への転移がみられるものは「H」とされます。さらに遠くの臓器(肝臓以外のもの)や先ほどのリンパ節転移の分類から「N3」よりも遠いリンパ節への転移がみられる場合には「M」とわけられます。
3つの要素から導き出すステージ
「大腸癌取り扱い規約」では、これまでご紹介した3つの要素から5つのステージを導き出していきます。基本的には壁深達度の度合いとリンパ節や他臓器などへの転移の有無を掛け合わせて分類がおこなわれます。
まず、壁深達度がMでリンパ節や多臓器への転移が見られない場合には進行度が低い「0」と診断されます。次に、壁深達度がSM、MPかつ他への転移が見られない場合は「1」、壁深達度がSS以上であるが他への転移がみられない場合は「2」と分類されます。
リンパ節やほかの臓器などへの転移が見られる場合、ステージは一気に「3」以上へ上がります。壁深達度がSM以上でリンパ節転移がN1であれば「3A」、リンパ節転移がN2~N3になると「3B」、転移が多臓器へみられた場合にはステージが「4」と診断されます。
同じステージでもそれぞれの要素のレベルはいくつかあるものもあるので、詳しく医師から聞いておくと今の自分の身体の状態がより詳しくわかると思います。
また、医師の診断を受ける場合は1つの病院だけでなくいくつかの病院での診断(セカンドオピニオン)を受けることをおすすめします。
まとめ
知っておきたい「大腸癌のステージ分類方法」
大腸癌のステージ分類
壁深達度(深さ)
リンパ節転移
他臓器への転移
3つの要素から導き出すステージ