「大動脈解離が起こるとその生存率は?(前編)」では、大動脈解離の原因と分類、そしてその特徴をご説明いたしました。後編では、 大動脈解離 の治療法や 生存率 、術後死亡率などをお伝えいたします。
大動脈解離が起こるとその生存率は?(後編)
大動脈解離の治療
大動脈解離で死亡率の高い時間帯は、発症から2~3時間後です。発症した場合、最初に大動脈壁への負荷を低減する措置がとられます。心臓の働きを弱めるβブロッカーが用いられ、血圧、心拍数を下げる初期治療が行われます。
診断には、大動脈全体を評価できるCTスキャンを用います。大動脈解離が上行大動脈に起こった場合(スタンフォードA型)は、基本的に手術を実施します。
手術は人工血管(カテーテル)で大動脈を再建し、大動脈弁に漏れがある場合は、修復するか人工弁を使用します。カテーテルを用いる内挿術では2~4時間の手術時間で、入院日数は1~3日と短くなります。
解離が下行大動脈のみに発生している場合(スタンフォードB型)には手術は行いません。ただし、血圧コントロールができない、解離が広がっているなどの場合は手術が実施されます。
また、大動脈弓のみに解離が起きている場合(スタンフォードB型)は、基本的には内科的治療で血圧などの管理が行われます。大動脈解離の治療後も、解離の再発、動脈瘤の形成、また、大動脈弁の閉鎖不全などの合併症が起こる場合があり、MRIなどで異常の有無を確認する必要があります。
血圧を低く維持するよう、薬物療法を継続する必要があります。薬物療法では、ベータ遮断薬かカルシウム拮抗薬に、降圧薬のACE阻害薬などを併用します。
ステントグラフ治療(カテーテル治療)
ステントグラフ治療は大動脈解離の瘤化と破裂を防止し、カテーテルを用いた体に負担の少ない治療法として、保険適用も認められた世界の標準治療になっています。
急性A型大動脈解離
スタンフォード分類の急性A型大動脈解離の手術数は、CT普及率の向上とともに増加し、特に、胸部CT撮影による診断率の向上は、急性A型大動脈解離の手術増加に寄与しています。急性A型大動脈解離の手術後死亡率は約13%と高く、死亡原因の多くは心タンポナーデです。
大動脈瘤と発症
急性大動脈解離を発症しやすい人は、血圧140以上の高血圧で、糖尿病、高コレステロール、喫煙している人などで、そのリスクは高くなります。黄色いできものがある人や近視で高身長の手、足の長い人などもリスクがあります。
まとめ
大動脈解離が起こるとその生存率は?(後編)
大動脈解離の治療
ステントグラフ治療(カテーテル治療)
急性A型大動脈解離
大動脈瘤と発症