肝硬変などでは、タンパク質合成が低下しアルブミンの減少から浸透圧低下が起こり、非炎症性腹水が発生します。また、がん性腹膜炎などでは炎症性腹水が溜まります。
がんなどによる炎症性 腹水 は 余命 を短くします。CART療法は余命わずかで治療ができない人には優れた療法です。
腹水が溜まるとその余命は?
腹水とは
腹水は血液やリンパ液などが腹腔に溜まったものです。一般的には腹腔内に水は溜まりません。
腹水には非炎症性腹水と炎症性腹水があります。アルブミンの不足や門脈圧の上昇、腎臓での排泄低下などによって溜まった場合は非炎症性腹水で、がんなどの悪性腫瘍により、血管の透過性が亢進し血管から血液成分や血漿などの成分が滲出したものが炎症性腹水です。
末期がん患者に腹水症状が現れるのは、がんの進行・転移によってがん性腹膜炎が発症し、炎症部分から体液が漏れるからです。現在は腹水を濾過し必須成分を体に戻します。
今回は、腹水と余命の関係についてお話します。
腹水が溜まると体の水分バランスが崩れ、悪質液が進行した場合は余命が短くなり、胸水も溜まりやすくなっています。腹水は、何らかの原因で血液から水分が漏れやすくなったり、異常に作られたり、吸収が悪くなったりした場合に発生します。
がんの進行とともに水分が大量に溜まり、余命に近い状態までに進行する場合があります。胆管・膵臓などの消化器系や、婦人科のがんは、進行すると腹水が発現し余命が短くなる場合があります。
腹水の症状
少量の腹水であれば自覚症状はありませんが、大量に溜まると腹部の膨張から胃・胸が圧迫され、吐き気、食欲不振や息切れなどが発現します。
さらに進行すると冷え、倦怠感や全身のむくみなどがあらわれます。末期がんで腹水が溜まった場合は、腹水を抜く処置で苦痛を軽減し、緩和ケアへ移行します。
腹水の原因
非炎症性腹水の原因に、アルコール・ウイルス性肝炎、肝硬変、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群や卵巣過剰刺激症候群などがあります。
漏出液はタンパク質量が少なく、透明で凝固しにくい液体です。炎症による滲出液が腹水として腹腔に溜まったものが炎症性腹水です。
この炎症性腹水は細菌性腹膜炎、がん性腹膜炎、胃・肝・大腸・胆道・膵・卵巣・子宮がん、急性膵炎などに起因します。滲出液はタンパク質量が多く、混濁・凝固しやすい特徴があります。
腹水の治療
腹水は種々疾病に起因する二次的な症状で、腹水の根治は原因疾病の治療をすることになります。
軽度腹水の治療は、食事療法や塩分・水分摂取制限で改善を試みる一般療法と、漢方薬、利尿剤、モルヒネやアルブミン製剤の投与による薬物療法があります。これらの治療で改善しない腹水は難治性腹水です。
がんと腹水
がんにより水分バランスが崩壊し、腹水が溜まります。がんが進行し悪質液になっている証拠です。悪質液が進行し余命数ヶ月になると腹・胸に水が溜まりやすくなります。横隔膜より上で発生したがんは胸水が、下で発生したがんは腹水が溜まりやすくなります。
大腸がんなどではリンパの流れが悪くなるので、脚に浮腫が発生する場合があります。がんが進行すると、腹が膨らみ、手足がむくむのは、血中水分を確保するアルブミン蛋白の減少が原因です。
アルブミン低下は、悪質液や肝臓の機能低下が原因です。がんによる水分偏在の原因は、血管から水分が漏れやすくなっている、異常に腹水が作られる、腹水の吸収が悪くなっていることです。がんはある程度進行しないと腹水は溜まりません。
がんが原因で腹水が発生している場合、有効な腹水の治療法はありません。利尿剤などの薬物治療とアルブミン濃度を高くすることが一般的な治療です。
モルヒネやオキシコドンなどの麻薬性鎮痛剤、EPAなど抗炎症剤は腹水による症状に効果があります。腹水を濾過し余分な水分を除去し、タンパク質を含む濃縮した腹水を点滴投与する復水濾過濃縮再静注法があります。
まとめ
腹水が溜まるとその余命は?
腹水とは
腹水の症状
腹水の原因
腹水の治療
がんと腹水