外耳炎はさほど珍しくない症状で、少し耳を引っかきすぎただけでも発生します。しかし高齢者ゆえの免疫力の低下により、時に恐ろしい病気にまで悪化してしまうこともあります。
今回は高齢者の 外耳炎 で注意すべき点と症状の段階ごとの適切な 薬 の使用法についてご説明します。
侮れない外耳炎!高齢者の注意する点と適切な薬の使い方(前編)
外耳炎が軽い内はこの薬が効く!市販薬の紹介
少し耳かきをやりすぎたり、かゆくてついかきすぎてしまった結果の外耳炎であれば、市販薬で手軽に治すのも有効です。外耳炎の市販薬はさまざまなものが発売されています。
オイラックスAはしっしんから虫さされまで効く塗り薬です。べたつきが少なく使用感が快適なため、子供から高齢者まで幅広く使えます。
フルコートfはかき壊して化膿してしまった患部にもよく効きます。ただし抗生物質やステロイドが入っているため、長期間の使用は控えた方がよいでしょう。
同じく抗生物質・ステロイドが入っているベトネベートN軟膏ASは病院で処方されるリンデロンの代用品になるほど効き目が強いです。この薬から抗生物質を除いたものがベトネベートクリームで、効きめは少しマイルドです。
テラマイシン軟膏aは2種類の抗生物質が入ったより強いものです。クロマイ-P軟膏ASも抗生物質とステロイド入りでじゅくじゅくしてしまった患部にも使えます。
テラ・コートリル軟膏は幅広い抗菌作用で慢性の皮膚炎などにもよく効きます。パピナリンは液体タイプであるため慣れるまでは使用が難しいかも知れません。脱脂綿を使用する使い方がやりやすいでしょう。
以上のように外耳炎の市販薬は大変種類が豊富です。迷ってしまったなら薬剤師に相談するのがよいでしょう。そしてパピナリン以外は軟膏ですが、塗布する際は自分の指を使わずに、清潔な綿棒にとってから塗るようにするのが余計な菌の侵入を防ぐために良い方法です。
人間の手指にはたくさんの雑菌がついているので気をつけましょう。
市販薬の限界・このような症状になったら病院へ!
これらの市販薬を用いても症状がおさまらない、目安としては1週間経っても外耳炎が治癒しない場合は、市販薬の限界です。それ以上は続けても治癒どころか悪化の傾向をたどることが多いため、すみやかに病院へ行った方がよいでしょう。かかる科は耳鼻科です。
しかしただの外耳炎と思っていたらもっと重い病気だったということも特に高齢者にはあることですので、薬剤師によく症状を説明して、状態が酷い場合は1週間を待たずに病院へ行くのが望ましいです。
一刻を争う状態・悪性外耳道炎とは
外耳炎が悪化して発症する、もっとも恐ろしい病気が悪性外耳道炎というものです。命に関わる病気なのでこの病気のサインを見逃してはいけません。
悪性外耳道炎の原因になる菌は緑膿菌といい、どこにでも存在するありふれた菌のひとつです。健康な方はこの菌に触れても何も起きないのですが、高齢者のように免疫力が弱くなっている方には深刻な感染症を引き起こす場合があります。
特に糖尿病にかかっている方はより免疫力が低下しているため、細心の注意が必要になります。
悪性外耳道炎にかかると、進行性の激しい耳の痛みや、黄緑色をした耳だれが耳から流れ出してきたり外耳道全体が腫れたりします。
そのまま放っておけばどんどん耳の奥の方へと進行して行き、難聴や顔面神経の麻痺、側頭骨や周辺組織の壊死などさまざまな恐ろしい症状を引き起こし、最終的には命まで奪われることになります。
このような恐ろしい結果をまねかないために、高齢でかつ糖尿病を持っている方は外耳炎にかかった場合には注意に注意を重ね、少しでも悪化の兆しが見えたら病院に行った方がよいでしょう。
まとめ
侮れない外耳炎!高齢者の注意する点と適切な薬の使い方(前編)
外耳炎が軽い内はこの薬が効く!市販薬の紹介
市販薬の限界・このような症状になったら病院へ!
一刻を争う状態・悪性外耳道炎とは