「新薬ハーボニーの副作用と継続される薬効研究(前編)」では、ハーボニーの軽度な副作用や重篤な副作用についてご紹介いたしました。後編では、ハーボニーと併用を注意すべき薬剤について、またハーボニーとは併用が禁忌とされている薬剤をご紹介いたします。
併存疾患との相互作用における ハーボニー の 副作用 はこれからも注視していくべき事項です。
新薬ハーボニーの副作用と継続される薬効研究(後編)
ハーボニーと併用に注意を要する薬剤
ハーボニーとの併用によって効果が増減や、重篤な症状が出ると報告がされています。治療を希望、開始する際には必ず服用している薬剤は市販薬も含め医師に伝えておくことが大切です。
服用するタイミングで効果に影響を与えるのが、制酸剤のマーロックスなどやH2受容体拮抗薬のガスター、プロトンポンプ阻害薬のオメプラゾールなどです。胃酸が抑制されることで吸収率に変化が生じるのです。これではハーボニーによる薬剤の効果を最大限期待できなくなります。
ハーボニーとの併用で血中濃度が増減することもあり、強心配糖体のジゴキシン、スタチン系コレステロール低下薬のロバスタンチン、他にもMAC治療に使用する抗酸菌症治療薬のリファブチン、抗痙攣薬のフェノバルビタール、HIV・B型肝炎治療薬のテノホビルも服用期間中は注意が必要で、適宜に血中濃度測定が必要になります。
重大な症状を引き起こす可能性がある薬剤では不整脈治療薬のアミオダロンは深刻な不整脈を発症する恐れがあります。やむを得ず治療を行う場合には入院し12V誘導心電図でのモニタリングと経過観察が必要です。
作用機序は不明ですが、ハーボニーの服用終了後に不整脈を発症し死亡に至ったケースもあります。肝臓病がありβ遮断薬を服用も胸部不快感・眩暈・意識消失・動悸などに注意が必要です。
ハーボニーの使用禁忌とその理由
ハーボニーの成分のうち過敏症症状の既往を有する方、、重度腎機能障害、透析を要する方は使用禁忌です。なぜかというと、ハーボニーの成分であるソホスブビルが尿中に排泄されにくく、腎機能障害や透析患者の血中濃度が暴露状態になるからです。
ソホスブビル自体、腎機能障害や透析の場合は禁忌です。よってハーボニーも禁忌となってるのです。海外では複数の死亡例が報告されています。
ハーボニーとの使用が禁止されている薬剤は結核などに使用される抗酸菌症治療薬のリファンピシン、抗てんかん薬のカルバマゼピン、フェニトインです。
食材ではハーブティーで販売されているセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)です。これらを併用するとハーボニーの血中濃度が低下、すなわちジェノタイプ1のC型肝炎のウイルスへの期待する効果が得られないということです。
ハーボニーは1型C型肝炎と代償性肝硬変に対して基礎疾患も含めて有効性を充分検討し服用が開始されますが、肝硬変に限って肝臓にそのものに影響を与えた場合には事例は多くないものの肝障害の報告がされています。
ハーボニーの服用による遺伝子変異の影響
肝炎ウイルスは体内で増殖する際に正常な細胞の遺伝子を書き換えて増えていくことは周知で、ハーボニーは遺伝子の書き換えを抑制する働きで肝炎ウイルスを排除していきます。しかし、すでに耐性変異がある場合には薬剤の効果が減少し著効率は低いとの報告もあります。
臨床試験で耐性変異が確認できた症例はごく僅かとされていますが、可能性はゼロではないという認識が必要です。なぜなら、臨床試験の耐性変異が限られた条件の情報しかないからです。
そのため治療における上の副作用として起こりうるリスクは治療にあたる医師をはじめ患者自身も把握することが必要です。発癌リスクならびに変異に対するハーボニーの著効率と更なる複雑な多剤耐性獲得リスクは勘案していく必要があるといえるでしょう。
C型肝炎のハーボニー服用における注意点
ハーボニーはC型肝炎以外にB型肝炎感染者と既往感染者はC型肝炎ウイルスが低下するのに反してB型肝炎ウイルスが再活化する恐れがあります。治療を開始する前に、B型肝炎ウイルスの定量検査を十分に行い、ハーボニーの服用が可能か見極めていく必要があります。
また、非代謝性肝硬変に対するハーボニーの臨床試験は行われておらず、使用するべきではないと示されています。
現在、肝機能障害は認容許容範囲とされているものの、高齢者や併存疾患との相互作用におけるハーボニーの副作用はこれからも注視していくべき事項と独立行政法人 医薬品医療機器総合機器機構は定めています。
まとめ
新薬ハーボニーの副作用と継続される薬効研究(後編)
ハーボニーと併用に注意を要する薬剤
ハーボニーの使用禁忌とその理由
ハーボニーの服用による遺伝子変異の影響
C型肝炎のハーボニー服用における注意点