「ハーボニーの薬価と改定に見る医療保険制度の新たな動き(前編)」では、ハーボニーの薬価が引き下げられた経緯についてご説明いたしました。後編では、 ハーボニー の 薬価 改定による市場の変化についてご説明いたします。
ハーボニーは、薬価引き下げの効果からか497,7%の需要の増加、販売額は448億40百万円となりました。
ハーボニーの薬価と改定に見る医療保険制度の新たな動き(後編)
ハーボニーなどの薬価改定による市場の変化
2016年11月1日にIMSジャパンが発表した「第3四半期 2016年(7月~9月)日本医療用医薬品市場(薬価ベース)」の調査によると、市場全体の成長率は前年比の2,4%減となる2兆5,167億89百万円でした。
上位10製品のトップはハーボニーとなっていて、薬価引き下げの効果からか497,7%の需要の増加、販売額は448億40百万円となっています。
この結果は手放しに喜べるものではなく、厚生労働省が打ち出した、今回の高額な薬剤に対する特例拡大再算定は当座のやりくりであり、薬の成分に対する評価は関係なく「売上げ」を重視しているのです。
この施策は国民皆保険制度の根本的な解決策ではないということを浮き彫りにしたといえるでしょう。
2018年の費用対効果評価の次期改定12品目にハーボニーも該当
現在の保険制度では国庫が破綻しかねないということは周知の事実です。2018年に再び薬価再算定が行われるにあたり、中央社会保険医療協議会は審議を重ねています。
内容は非公開であるものの、現在の薬価収載の仕組みを変え、薬剤の効果に対するデーターとして提出し内容から薬価を再算定し、総合的にその薬剤を評価し決定するものに移行しようとしています。
現在では根治療できる薬剤も、状態が少しだけ変化する薬剤も、同じ算定方法であるため、薬剤の真の価値が見出せていない状況です。
価値を見出してもらえず、値下げとなった点でハーボニーがいい例ですが、これでは日本の保険制度そのものが海外で作られた新薬の流入を途絶えさせかねない事態であるのです。良薬があっても価値を見出さない日本では販売されなくなりかねず、治療の発展を妨げかねないということです。
現行の薬価評価では保険制度が成り立たない時代にきていると言わざるを得ません。これからはその薬剤の価値が値段を決めていく時代と変わっていくでしょう。
日本の医療費の財源には限りがあり、改めて薬剤が評価されることによって、ハーボニーを含めた根治療ができる薬剤の価値が出ることによって治療を必要としている方が治療を受けられることに繋がっていくといえるのではないでしょうか?
まとめ
ハーボニーの薬価と改定に見る医療保険制度の新たな動き(後編)
ハーボニーなどの薬価改定による市場の変化
2018年の費用対効果評価の次期改定12品目にハーボニーも該当