C型肝炎の治療が必要な患者は37万人いると言われています。 ハーボニー は、 薬価 が高額ですが、ハーボニーは発売後7か月で2,693億円もの売上げを記録した薬剤です。
2016年薬価改定したハーボニーをはじめ、有効な薬剤が次々に登場することで、希望が見える一方、国民皆保険制度による財政圧迫が著しくその維持の動きについてもご説明いたします。
ハーボニーの薬価と改定に見る医療保険制度の新たな動き(前編)
ハーボニーが2016年4月の薬価改定に至ったきっかけ
日本国は「国民皆保険制度」で成り立っており、医療費は現在13年以上にわたって過去最高を更新しています。昨年、厚生労働省が医療費の動向と調剤医療費の動向における医療費は概算で41,5兆円を超えると発表しました。
特に薬剤量の増加で高額薬剤の「ゾバルディ」と「ハーボニー」などの高額薬剤の相次ぐ登場に、厚生労働省は国民皆保険制度が従来の仕組みでは破たんしてしまうことを危惧したことから、「薬価の在り方」について抜本的な見直しを提案したことから始まったのです。
高額な薬剤「ハーボニー」などの引き下げの経緯
ハーボニーは2015年9月に発売となりましたが当初、1錠あたりの薬価が80,171円、これを必要期間の12週間服用すると、標準薬価総額は673万円とかなりの負担を国も患者も強いられます。
厚生労働省の提案をきっかけにして、薬価が下がることで生まれる財源を診療報酬に回したい「診療側」と、医療費の負担を抑えたい「支払い側」と「製薬会社」での協議が行われ、診療側と支払い側が製薬会社に、薬価を下げるよう強く要求しました。
製薬会社は病気治療における革新性そのものの否定だと強く反発しました。製薬会社は病気を治療する薬を作るための研究に巨額な資金を長年にかけて出資しています。薬価が下がっては十分な研究や成果が妨げられるとしたからです。
協議は平行線であったものの、最終的には国民皆保険制度を維持するためと位置づけた上で厚生労働省が反対を押し切る形で薬価を下げることに決定させたのです。
2016年4月の改定にあたり導入された「特例拡大再算定」とは
特例拡大再算定とはハーボニーやゾバルディなど年間売上げが1,000億を超える医薬品について薬価を引き下げるものです。
具体的には、年間販売額が1,000億円を超え1,500億未満で予想販売額が1.5倍以上に上回る場合が最大▲25%、もしくは年間販売額が1,500億以上で予想販売額が1.3倍以上に上回る場合に最大▲50%で算定するとしました。
この施策により、国内医薬品市場は約200億円引き下がるとしたのです。少しでも医療費の増加に歯止めをかけたい厚生労働省の思惑が感じ取ることができます。
ハーボニーが、なぜこの施策に選定されたかというと、ギリアド・サイエンシズ社がハーボニーの薬価を決定する際に、ゾバルディを比較薬として決定したからです。
今回の特例拡大再算定でゾバルディも薬価引き下げの対象となっていたことからハーボニーも対象となったことが背景にあります。
結果、ハーボニーは80,171円から31,7%の引き下げで54,796円に改定となり、助成金の申請で、患者自身の実質負担は2~3万程度の軽減となったのです。
まとめ
ハーボニーの薬価と改定に見る医療保険制度の新たな動き(前編)
ハーボニーが2016年4月の薬価改定に至ったきっかけ
高額な薬剤「ハーボニー」などの引き下げられた経緯
2016年4月の改定にあたり導入された「特例拡大再算定」とは