「歯茎が白い色になる症状からわかる口腔疾患(前編)」では、口腔疾患をいくつかご紹介致しました。後編では、さらに踏み込み 歯茎 が 白い 色になる疾患についてお伝え致します。
日頃から口腔環境を清潔に保つことと不必要な刺激を歯茎に与えないようにしましょう。
歯茎が白い色になる症状からわかる口腔疾患(後編)
歯茎に白い膿疱、膿が出たら歯根嚢胞
歯科で最も多くみられるのが歯根のう胞です。歯茎が浮くような感じや、うずく、触れると歯茎から膿が出る、歯茎に白い膿疱ができている場合には「歯根嚢胞」かもしれません。
歯根の感染か歯髄の壊死によりおこる現象で、神経の残っている歯には起らず、神経を抜いた歯や歯根が折れている場合におきる口腔疾患です。
自覚症状がなく経過していることもあり、歯科でレントゲンを撮って発見されたなんてことも珍しくありません。体力が低下した時に痛みや腫れだすということもあります。
軽度であれば根管内の洗浄と消毒を行い、膿などの炎症が落ち着いてから薬剤を詰める治療になりますが、場合によっては外科的治療や抜歯となることもある疾患です。
歯根嚢胞の膿は歯槽骨など顎の骨を溶かすだけでなく、血液に入り込んでアレルギーや心疾患の原因となることも報告されています。
誰もが罹患しやすいだけに、口腔内に違和感がないかチェックし、歯茎に白い膿疱があったら早めに受診することが必要です。
原因不明の白板症は前癌病変
喫煙習慣や過度なブラッシングを行う習慣のある方が注意して頂きたいのが、「白板症」です。白い病変組織が歯茎や下に板状か斑状で出現します。
口腔カンジタ症はこすり取ることができるのに対して白板症はその組織を取ることができません。組織の色は白色以外にも紅斑が混在していることもあります。
原因は不明ですが、誘引となる刺激では喫煙・刺激物・飲酒・歯の充填物や義歯などではないかとされています。これらの原因を除去し、小範囲であれば外科的治療や広範囲におよぶ場合にはレーザーによる蒸散や凍結療法、軟膏塗布、必要があればビタミンAの投与で経過を見ます。
白板症に反応があれば治療は有効でありますが、ない場合には生検で癌化していないかを調べる必要があります。
白板症における口腔粘膜の病変は40歳以上の男性に多く、白板症の60歳以上の女性においては癌化しているものが多いといわれていることから、極めて癌化する可能性が高い口腔疾患です。
初期は見分けがつきにくい歯肉癌
「歯肉癌」の初期は歯茎が腫れたり、出血したり、白く潰瘍化するなど一見、他の口腔疾患と似たような症状を呈します。発見された時には顎下まで癌が浸潤していたということも少なくありません。歯肉癌の好発部位は上下ともに臼歯の歯茎部分にできます。
病状が進行すると腫瘤やしこりなどが出てきますが、初期は口腔粘膜の表面が白くなったりするため、他の口腔疾患と見分けがつきません。
歯肉癌は舌癌よりも見分けがつきにくいため、普段からご自身の口内チェックを行うことが大切で、治癒しない口内炎が2週間以上継続している方、口腔の粘膜の色が白色または発赤していないか、腫瘤やしこりが治らない、歯がぐらつくなど気になる症状がある場合には早めに診察を受ける必要があるでしょう。
日頃から口腔環境を清潔に保つことと不必要な刺激を歯茎に与えないようにし、歯肉炎や歯周病がある方は治療を受けて改善することが歯肉癌を予防する手段でもあります。
まとめ
歯茎が白い色になる症状からわかる口腔疾患(後編)
歯茎に白い膿疱、膿が出たら歯根嚢胞
原因不明の白板症は前癌病変
初期は見分けがつきにくい歯肉癌