歯茎は血行の流れで赤く見えるのが一般的です。しかし、腫れや痛み、出血するなどの違和感がないのに 歯茎 が 白い 色になる口腔疾患が数多く存在します。
日頃のセルフケアやチェックにご活用いただけるほか、気になる歯茎が白い色になる症状から口腔疾患の具体的な症状をご説明いたします。
歯茎が白い色になる症状からわかる口腔疾患(前編)
白い苔のような症状は口腔カンジタ症
口腔内に白い苔のようなものが増殖していることが基礎疾患を有する方、高齢者などの抵抗力が低下した方にしばしば見られることがあります。
口腔カンジタ症はカンジダ・アルビカンスという真菌の一種です。カビと言われるとイメージがわきやすいかもしれません。口腔カンジタ症は常在菌であるため、普段は一定数以上に増えることはありません。
口腔内の白苔はこすると簡単にとることができますが、その下には発赤やびらんが見られます。炎症が進行すると痛みも出てくるようになります。急性期の症状のうちに唾液の分泌量の減少や体力低下など原因となった要因が改善できることが望ましいといえます。
治療はうがい薬や塗布薬のほか抗真菌剤などで行います。慢性化すると白苔が肥厚し、治療も体への侵襲が大きくなるので早めに治療を開始することをおすすめします。
潰瘍と痛みが辛い口内炎
口内炎の痛みは周知の通りかなり辛いものですが、口内炎は2~10mm程度の大きさの白い潰瘍やただれが歯茎などにできます。
口内炎を詳しく分類しますと、歯茎への傷や体調不良時に多い「アフタ性口内炎」、高齢者のむし歯や歯槽膿漏など口腔内の衛生環境の不均衡、鉄分や葉酸などのビタミン不足などからくる「カタル性口内炎」、ヘルペスウイルスによる「ウイルス性口内炎」や「アレルギー性口内炎」などがあります。
最も多いとされるのがアフタ性口内炎です。一般的には休息や栄養バランスを良くすることで改善される症状ですが、中には原因不明の口内炎を繰り返していたら口腔癌だったという症例もあるので、心配な方は専門医を受診するようにしましょう。
歯ぎしりや歯を食いしばる方に多い骨隆起
骨隆起は骨の増殖したもので害は無く、基本的には温存療法で経過をみます。義歯を作るときや擦れて痛みが生じた場合には外科治療を行うことになります。
歯茎にできる骨隆起のことは「歯槽隆起」といい、指で触れると硬く、痛みはありません。歯肉の表面近くにできている場合は骨の色が透過するので白っぽく見えることがあります。
骨隆起の大きさは個人差があり、変わらないままの方もいれば、、徐々に肥大する方もいます。遺伝的な要素もありますが、多くの方に歯ぎしりや歯を食いしばる習慣傾向がみられることから、状態によっては就寝時に装着するマウスピースを作ることもあるようです。
骨隆起以外にも歯に強い力がかかった状態が続くと、歯周病を発症するリスクや歯が割れる、すり減るなどの弊害も起きるので心当たりがある場合には注意したほうが良いでしょう。
歯茎にできる良性腫瘤の歯肉腫
歯垢や歯の残根、虫歯治療でしたかぶせ物や義歯・ブリッジなどの金属が歯茎や歯槽骨への刺激となってできる腫瘤で「歯肉腫(エプーリス)」とも呼ばれます。
歯茎や歯間部に丸い小豆大~親指母子大の腫瘤ができるのが特徴です。色は白いものから紅斑などさまざまでゆっくりと成長します。大きくなってくると出血しやすくなります。
腫瘤自体は良性なので問題はないのですが、ガンとの識別がつきにくい様相を呈すこともあり注意が必要です。妊娠中にホルモンバランスが変化し、歯肉腫が発症することがありますが、出産後には戻ることから妊娠性歯肉腫の場合は経過観察をします。
歯肉腫は発生した場所の歯槽骨を吸収してしまうため、放置すると歯がぐらつく、傾くなどの弊害が出てくるようになることから切除する必要があります。歯肉腫は切除した場合でものちに再発することがあります。
確定的な原因は不明とされていますが、原因と思われる要素も取り払う必要があります。日頃のメンテナンスが必要不可欠といえるでしょう。
まとめ
歯茎が白い色になる症状からわかる口腔疾患(前編)
白苔のような症状は口腔カンジタ症
潰瘍と痛みが辛い口内炎
歯ぎしりや歯を食いしばる方に多い骨隆起
歯茎にできる良性腫瘤の歯肉腫