肺炎は病原性微生物の細菌やウイルスなどによって発症します。健康であれば、細菌やウイルスは扁桃部で免疫作用により排除されますが、排除できず肺に炎症が起こると肺炎になります。罹患や発症状況によっても異なりますが、 肺炎 の症状が軽度であれば1週間程度で 完治 します。
その症状が重度の場合は、入院治療が必要となりますが、その場合でも、通常3~6週間程度で完治します。
怖い肺炎―その完治の目安は?
肺炎の原因
日本人の死因の上位を占める肺炎は、風邪やインフルエンザが起因することが多いといわれています。
肺炎の原因とされている病原性微生物には、主にブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルス、マイコプラズマと真菌(カビ)の4種類に分類されます。
この他にも喫煙や誤嚥によっても肺炎が起こる場合があります。肺炎に罹患した人の約3割が細菌の肺炎球菌によるものです。子供の肺炎の罹患率は、ウイルス性が30%、細菌によるものが16%、マイコプラズマが11%となっているようです。
肺炎は他の病気に比べ、入院治療と診断される割合が高いといわれています。
また、高齢ほど死亡する確率が高くなりますので、早急に肺炎の原因菌を特定し、薬剤、抗生物質の点滴などの処置が必要です。解熱の処置、咳に対する呼吸困難の予防などをすることが必要となります。
今回は、肺炎に罹患したとき、その完治の目安についてお話します。
肺炎での入院治療が必要な場合は、炎症が強く、呼吸状態が悪化傾向にあるか、それが見込まれるときです。炎症反応が無くなり、抗生剤を使用しなくても症状が悪化しない状態であれば、治癒とみなし完治となります。
ウイルス性肺炎で入院加療して1週間で完治、退院しても、肺炎痕が影としてレントゲンに映る場合があります。しかし、2週間程度で影はなくなります。入院治療をした場合であっても、3週間~1ヶ月半程度で完治します。
マイコプラズマ肺炎は、一般的には2~4週間ほど咳が続き、完治には発症から3~4週間かかります。マイコプラズマ肺炎の特徴は長引く咳です。潜伏期間でも他人に感染させる場合があります。
子供の場合、学校保健安全法により、マイコプラズマ肺炎は第三種に分類されているため、出校停止の措置を受ける場合がありますので注意が必要です。
肺炎の症状
肺炎の主な症状に、長引く咳・痰、炎症による胸痛、発熱、脱水、食欲低下などがあり、重傷では呼吸困難と意識障害になる場合があります。肺炎の症状は風邪やインフルエンザに似ていますが、少し異なる症状を呈するのがマイコプラズマによる肺炎です。
その症状は、痰がでず長引く空咳、発熱しないことが多い、食欲不振などです。特に、同様な症状を有することが多い高齢者の人は注意が必要です。乳児の肺炎はその症状がでにくいため、レントゲン検査でわかる場合があります。
肺炎の診断・治療法・予防
肺炎の診断に、問診、胸部レントゲン撮影、CRP、白血球数測定などの血液検査があります。しかし、同診断で肺炎を特定できない場合は、痰検査、CT検査などが行われます。軽い肺炎症状で入院を要しない場合は、主に安静にし、水分補給と薬を内服します。
また、入院治療を要する場合は、咳止めと解熱剤による対症療法と原因菌にあわせた抗菌薬の服用と点滴治療を行います。
通常、治療期間は7~10日間ですが、高齢者の場合は2週間程度になります。肺炎の予防はインフルエンザの注意事項と同様で、頻繁な手洗い、うがい、アルコール消毒をすることです。肺炎が1~2週間で完治した人には後遺症はありません。
肺炎治療薬の抗生剤
肺炎治療では、原因菌にあわせた抗生剤を使用します。特定に時間がかかるため、普通2種類の抗生剤で対処します。肺炎には細菌性、非定型、ウイルス性肺炎があります。
用いられる抗生剤は以下のとおりです。
1.細菌性肺炎・・・肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など
- βラクタム系抗菌剤、キノロン系抗菌剤
2.非定型肺炎・・・マイコプラズマ、クラミジアなど
- マクロライド系・テトラサイクリン系抗菌剤、キノロン系・ニューキノロン系抗菌剤
まとめ
怖い肺炎―その完治の目安は?
肺炎の原因
肺炎の症状
肺炎の診断・治療法・予防
肺炎治療薬の抗生剤