肺炎球菌による感染症の70%を占める23タイプの肺炎球菌に作用する 肺炎球菌ワクチン は 高齢者 の肺炎の予防に極めて有効ですが、その効果より 副作用 を恐れて接種を躊躇している人が多くいます。
そして知名度が低く、健康保険がきかないことなどが普及の妨げとなっています。
肺炎球菌ワクチンの接種は副作用を恐れている高齢者が多い
肺炎球菌は肺炎の原因菌の1つです
日本人の3大死因と言えば、1位ががん(28.5%)、2位が心疾患(15.5%)、3位が脳血管疾患(9.9%)でしたが、2011年ごろから4位だった肺炎(9.9%)が3位に浮上してきました。
これは高齢化が進んで肺炎になる人が増えてきたためです。肺炎で死亡する患者の90%が65歳以上の高齢者で85歳以上が最も多く、2番目に90歳以上となっています。
肺炎とは、細菌やウイルスなどが体の中に入り込んでおこる肺の炎症ですが、症状として、発熱、咳、タン、胸の痛みなどがあります。原因となる細菌やウイルスは体の中だけでなく、日常的ないろいろなところにいます。体の抵抗力が弱ってくると感染をおこしやすくなります。
細菌やウイルスでおこる肺炎ですが、肺炎の原因菌でもっとも多いのが肺炎球菌です。原因菌は肺炎球菌の他にも、インフルエンザ菌やマイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ、黄色ブドウ球菌などいろいろあります。
肺炎球菌とは
肺炎の原因菌の1つである肺炎球菌は主に子供の鼻やノドに住み着いています。子供が咳やくしゃみをすると周囲に飛び散り、それを抵抗力が低下している人が吸い込むと感染して肺炎球菌感染症になります。
肺炎球菌を持っている成人はごく少数で、子供に触れあう機会の多い成人ほどかかりやすいようです。肺炎球菌は鼻やノドの奥につきやすい菌ですが、健康で体力のある人は免疫力があるために感染しません。
抵抗力が弱ってくると感染して肺炎球菌感染症になり、肺炎や髄膜炎、菌血症、敗血症、中耳炎などを発症する場合があります。肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌が肺に感染しておこす感染症のことです。
一般的に感染とは、本来菌がいないところに菌が住み着いて増殖し何らかの炎症をおこすことです。
肺炎球菌ワクチン
高齢者が肺炎にかかると重症化しやすくなる傾向にあります。体の機能が弱っていたり、他に病気にかかっていたりして重症化するようです。
従って、高齢者の肺炎球菌の予防のために肺炎球菌ワクチンを接種することは大事なことです。肺炎球菌に対する免疫を作っておくことが目的です。肺炎球菌ワクチンの接種は最も手軽にできる感染予防の1つです。
肺炎球菌ワクチンの副作用とは
肺炎球菌ワクチンを接種すると副作用を伴う場合があります。
接種した時の注射部分のかゆみ、疼痛、赤くはれる、軽い発熱、関節痛、筋肉痛などがみられる場合があります。通常3日間くらいでほとんど消失しますが、ごく少数ですが重症化する場合もあります。代表的な症例を下記します。
アナフィラキシー様反応
アナフィラキシー症状と呼ばれ、呼吸困難、めまい、不安、興奮、血圧低下、じんましん、吐き気、などの症状を呈します。薬剤やX線の造影剤などを初めて注射する時にでる場合があります。
血小板減少
血小板が本来持っている、止血、凝固などの役割ができにくくなる病気。
知覚異常
原因がないのに痛みやひりひり感がすること。
ギランバレー症候群
筋肉を動かす運動神経が傷害されて、両手両足に力が入らなくなる病気です。
これらの症状がでたらなるべく早く専門医の診察を受けるようにしてください。
肺炎球菌ワクチンで全ての肺炎は予防できない
肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌を原因菌とする肺炎を予防するワクチンですが全ての肺炎を予防することはできません。肺炎球菌を原因とする肺炎を100%予防できるものでもありません。
高齢者の肺疾患患者にインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの両方を接種すると死亡を81%減らすことができるという報告もあります。
肺炎球菌ワクチンを接種すべき人と、してはいけない人
接種すべき人は、65歳以上の人や、心臓、呼吸器の慢性疾患のある人、糖尿病、腎不全、肝機能障害のある人などです。
接種してはいけない人は、過去に肺炎球菌ワクチンを接種した人、2歳未満の幼児、発熱している人、重篤な疾患にかかっている人、アナフィラキシーにかかったことがある人などです。
なお、肺炎球菌ワクチンの接種は基本的に健康保険がきかない自由診療となっており、費用は医療機関により異なります。
しかし現在全国の地方自治体では高齢者の肺炎球菌予防接種の助成制度がスタートしております。費用の負担額は各自治体により異なります。詳細はお住いの市役所、町役場などで確認ください。(一部助成制度のないところもあります)
まとめ
肺炎球菌ワクチンの接種は副作用を恐れている高齢者が多い
肺炎球菌は肺炎の原因菌の1つです
肺炎球菌とは
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチンの副作用とは
肺炎球菌ワクチンで全ての肺炎は予防できない
肺炎球菌ワクチンを接種すべき人と、してはいけない人