肺がん と診断された年齢別データでは、75歳以上の割合は約半数を占めます。元気な方もいれば、持病を抱えている方もいらっしゃるので 手術 が最善の治療法であるとは一概には言えない場合があります。
今回は肺がんで実際に手術を受けている高齢者の方はどれくらいいらっしゃるのかということも含め、さまざまな観点から肺がんの手術についてご説明いたします。
高齢者の肺がんの手術の判断とステージごとの治療法について(前編)
肺がんは高齢者の病気であるといえます
日本は非常に高齢化の進んだ国になりました。2017年現在では65歳以上の高齢者は総人口の27.3%です。これは世界的にみても高齢者人口の割合は、主要国の中で特に高いといえます。将来的に見ても右肩上がりで増加していくことが予想されています。
話を戻しますが、肺がんの世界では70歳以上が高齢者として扱われます。実は、肺がんの患者様のほとんどが高齢者なのです。肺がんの治療やケアを考えるということは、高齢者の患者様のケアをどうするべきなのかという視点が必要になります。
つまり、いままでは手術をして、癌を切除するというイメージをお持ちの方も多いのですが、患者の方の高年齢化を考慮すると、手術をするということが最善の選択になるというものにならない可能性もあるため、年齢や体力の状態によっては、手術に対して慎重な検討が行われる必要があります。
肺がんのステージごとの生存率について
肺がんは初期時点では、自覚症状が出にくく、発見が遅れやすい癌の一種です。気付いた時には末期の状態になっているというケースも珍しくはありません。肺がんのステージごとの5年生存率がどれくらいか、みてみましょう。
ステージⅠは83.8%、ステージⅡは50.1%、ステージⅢは22.4%、ステージⅣは4.8%です。早期発見が難しいということもあり、ステージⅡでも約半分の50%です。そしてステージⅣの場合では、5%をきるという厳しい結果になっています。
肺という部位が現在の手術中心の治療では、根治が難しい部位だといわれているためです。
肺がんのステージと手術について
肺がんの手術は身体にかかる負担がとても大きく、手術ができるステージが限られているのです。肺がんは、すべてのステージにより手術で癌を摘出するというこができないというのが現状です。
肺がんの場合、手術を行って効果が期待できるのはステージⅠとステージⅡとされています。
ステージⅠで、病巣が原病巣の中に留まっていて転移のない場合は手術が可能であります。ステージⅡでも、リンパ節の転移はあっても原発巣付近で切除による効果が期待できる場合では、手術によって病巣を切除する方法がとられます。
しかし、ステージⅢやステージⅣの場合では、局所的な病巣の切除だけでは、がんを治療する効果があまり認められないために、化学療法による全身治療などの選択肢がとられます。
この状況からもおわかりいただけますように、肺がんはステージが進めば進むほど手術が困難になり、生存率も低下してしまう特徴があるので、早期にがんを発見して早期治療をすることが、生存率を非常に左右する重要なポイントになります。
まとめ
高齢者の肺がんの手術の判断とステージごとの治療法について(前編)
肺がんは高齢者の病気であるといえます
肺がんのステージごとの生存率について
肺がんのステージと手術について