息をするのが苦しいといわれる 肺気腫とは 、肺の組織が長い年月をかけて徐々に壊れる高齢者に多い病気です。タバコなど肺に有害な物質が原因であることが多く、5年生存率が約5割です。
肺気腫の原因・症状と最新治療法を解説します。
息をするのが苦しい肺気腫の原因・症状とは?最新治療法
肺気腫とは
肺は肺胞という小さい組織の集まりであり、その仕切りをフィルター代わりに毛細血管中で、呼吸から取り入れた酸素と、体の中でエネルギー生産に使った廃棄物の二酸化炭素を交換しています。
肺気腫とはその肺胞が何らかの原因で炎症を起こし、肺胞が壊れて、呼吸がうまくできなくなる病気です。
肺胞は炎症が起こると隣の肺胞との仕切りが破壊され、次第に大きな空間ができるようになります。風船のように大きくなった肺胞は弾力を失い、さらに肺胞を取り巻く毛細血管も少なくなり、二酸化炭素をうまく排出できなくなります。
このように弾力を失い、大きな空洞を持つスカスカになった肺の状態を肺気腫と言います。10〜20年かけてゆっくりと肺の機能が衰えていきます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
肺に炎症が起きている人は同時に慢性的に気管支も炎症を起こしている人がほとんどです。肺気腫と慢性気管支炎を合わせて慢性閉塞性肺疾患(COPD)とよびます。
肺気腫の原因
肺気腫の原因は肺に炎症を起こす物質を長い間吸引することです。肺気腫に罹患している人の8〜9割に喫煙歴がありますが、全ての喫煙者が肺気腫になるわけではなく、その割合は1〜2割といわれています。
その他の原因として、加齢、体質、大気汚染物質、アスベストなどがあげられます。特にアスベストは現在高齢の人たちが働き盛りの頃は規制もなく住宅などに使われており、今後さらに肺気腫の患者が増加するのではないかと危惧されています。
肺気腫の症状
風邪を引いたわけでもないのに咳や痰が長く続き、改善の兆候が見られません。軽い運動でも息切れをするようになり、息を吸うより吐く方が難しいと感じます。なかなか息が出て行かないと表現する患者さんもいます。
満腹状態になると息苦しく、徐々に体重が落ちてきているなども要注意です。また膨らんだ肺が心臓を圧迫し、心臓疾患を併発することも少なくありません。
肺気腫の診断
まず、レントゲンやCT検査、痰の培養などで肺がんや肺炎、結核など他の病気がないか調べます。同時にCT検査では早期の肺胞壁の破壊を見つけることができます。レントゲンでは肺がビア樽状に膨らむビア樽状胸郭を認めることができます。
次に吸った息をどのくらい吐き出せるかを調べる肺の機能検査を行い、重症度を測定し、血液検査などの結果も含めて総合的に診断します。
肺気腫の治療
一度壊れてしまった肺胞は元には戻りませんので、これ以上症状が悪化しないことを目標に治療を行います。喫煙習慣のある人は真っ先に禁煙をします。
対処療法として、咳や痰がひどい時には去痰剤を処方します。呼吸があまりに苦しい場合には在宅で酸素吸入を行います。
風邪やインフルエンザなどの呼吸器疾患を併発すると急に悪くなることがあります。インフルエンザが流行している時期はなるべく外出を避ける、あるいはマスクをする、予防接種を受けるなど十分な警戒が必要となります。
肺気腫のリハビリテーション
肺気腫になると少しの運動でも苦しくなり、運動不足になる人がいます。運動をしないと筋肉量が低下して歩けなくなるばかりではなく、肺を含めた内臓の働きも低下します。休みながらでも運動を続けることが大切になります。
肺気腫の最新治療法
最新の治療法として肺容量減少術(LVRS)という手術が注目されています。肺気腫になると肺が膨らんで心臓や横隔膜が圧迫され、肺以外の部分も苦しくなります。
肺気腫を発症している肺の部分を切り取ることで、心臓や横隔膜の圧迫取り、全身の状態を改善します。重症の患者にも効果がある場合があります。
まとめ
息をするのが苦しい肺気腫の原因・症状とは?最新治療法
肺気腫とは
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
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肺気腫の症状
肺気腫の治療
肺気腫のリハビリテーション
肺気腫の最新治療法