目の中でもカメラのレンズの役割を果たす部分を水晶体といいます。人間は、この水晶体を通して視界に入るあらゆる事を見ることができます。
この水晶体が濁ってしまい、視界が霞み視力が低下してしまう症状を白内障といいます。高齢化とともに誰もが発症する病気ですが、薬物治療では視力を回復することができません。濁った水晶体を取り出して、眼内レンズを入れるための手術を行わければなりません。
今回は 白内障 手術 と手術前後の流れ、についてお伝えします。
白内障手術と手術前後の流れ
手術前は点眼薬で予防を行う
白内障は、症状が日常生活に影響が及ばない軽度の段階では手術を行う必要はありません。医師と相談して点眼薬や内服薬を利用しながら、病気の進行を抑えます。
点眼薬にはピノレキシン製剤とグルタチオン製剤を利用します。内服薬には、唾液腺ホルモン製剤、チオプロニン製剤、アルドース還元酵素阻害剤、八味地黄丸の4種類の薬を利用します。
症状にあわせて、医師と相談しながら薬で進行を抑えていきましょう。症状が進行して、視力の低下が著しくなってきたら、手術の決行を検討していきます。
検査を行い目に合うレンズを選ぶ
白内障の手術は、目の水晶体を取り替える、という非常にデリケートな手術です。まず手術が問題なく行うことができるか調べ、目に合うレンズを選ぶための検査を行います。
眼底検査、角膜内皮細胞、角膜曲率、眼軸長の検査、手術に必要な血液検査を行います。また、水晶体の濁りが進行している場合は網膜の電気的検査や超音波検査なども行われることがあります。
濁った水晶体を人工のレンズに入れ替える
まずは水晶体の中心部分の核、という硬い部分を超音波で砕きます。そして濁った水晶体を吸引して取り除きます。濁った水晶体を取り除いた後は、直径6mmの折りたたんだ人工の眼内レンズを挿入します。網膜や視神経などの部分に問題がなければ、視力低下の回復を期待できます。
一人ひとりの状態にあわせて、手術前に麻酔を行います。点眼麻酔、テノン下麻酔、球後麻酔、全身麻酔など種類があります。手術を安全に行うために、症状にあわせて医師と相談しながら、最適な麻酔方法を選択しましょう。
手術時間自体は極めて短く、10〜30分ほどで日帰りで終えることができます。
白内障手術のリスク
白内障手術は、安全性の高い手術ですが目玉を切る手術です。手術が成功に終わっても、何かしらの形で目にダメージが残ってしまう可能性も0ではありません。駆逐性出血、術後感染症、チン小帯断裂などのトラブルが例としてあげられます。
また濁りがとれて、今までより視界が眩しくなったり、視力に変化が起きることに不満をだかれる患者もいます。さらに手術終了後も、傷口に細菌が入り込み眼内炎を発症する可能性もあるため、術後も定期的な通院が必要です。
一般的に症状が中度以下の方であれば、視力が手術後は回復していきく、現在ではリスクは極めて低い手術です。
視力が安定するまでは、医師の指示に従い生活を送る
白内障の手術後は、傷口がふさがっていないため目にばい菌が入りやすい状態です。充血して、しばらくは目がゴロゴロしたり、チクチクするなどのことが起こります。帰宅後に、万が一痛みを感じた場合は痛み止めを服用してください。
また視力が安定するまでに1ヶ月から2ヶ月かかります。その間、点眼薬、内服薬の薬を指示に従って利用して、その他洗顔や洗髪から仕事や運動の私生活に関わることは医師と相談しながら、生活を送りましょう。
そして指示された受診日には、受診して経過をしっかりと医師にみてもらいます。術後3ヶ月は、一般的に点眼治療も必要なくなり通院する必要もなくなります。しかし後期合併症が発見されることもあるので、年に1回から2回は検診を行います。
まとめ
白内障手術と手術前後の流れ
手術前は点眼薬で予防を行う
検査を行い目に合うレンズを選ぶ
濁った水晶体を人工のレンズに入れ替える
白内障手術のリスク
視力が安定するまでは、医師の指示に従い生活を送る