白内障とは、目の中にある水晶体という部分が白濁して見えにくくなる病気です。一般的な認識として、白内障手術は簡単で短時間でできるイメージがあります。しかし、すべての白内障が簡単に手術できるわけではありません。
今回は 白内障 の中で最も頻度が高い老人性白内障の 手術 時間 について説明していきます。
白内障の手術にはどのくらいの時間がかかるのか?
老人性白内障の分類
老人性白内障は加齢による水晶体の白濁で、その程度により4つに分類されます。
1つ目は初発白内障です。初期の白内障で中央には混濁がかかっていないため、自覚症状はほとんどないため、この時点で手術する必要はありません。
2つ目は未熟白内障です。初発白内障よりは進行した白内障で、目がかすんで見えたり、眩しく見えるなどの自覚症状がでてきます。だいたいは点眼などで様子をみることも多いですが、自覚症状が強かったり、視力が大きく低下すれな手術をする場合もあります。
3つ目は成熟白内障です。混濁が水晶体全体に広がり、かすみや眩しさなどの自覚症状も強くなり視力もかなり低下します。この段階では生活にもかなり支障をきたすため手術が必要になります。
4つ目は過熟白内障です。混濁がさらに強くなり、核および皮質の萎縮化がみられます。過熟白内障のまま放置すると皮質は液化し、核が下方に沈んだり、膜状になったりします。白内障の末期状態で両眼が過熟白内障になってしまえば、日常生活に大きな困難をきたします。
老人性白内障手術の平均的な時間
現在の老人性白内障の手術は、多くの場合濁った水晶体を超音波で細かく砕いて吸い取り、後嚢という部分を残して、折り畳んだ人工の眼内レンズを入れる方法で行われています。
手術が順調に行われると、手術時間は大体10~15分くらいで行われることが多いです。消毒まで含めて20分以内で終わる場合がほとんどです。
白内障手術に時間がかかってしまう要因
老人性白内障の平均手術時間は、比較的短時間で終わる場合がほとんどですが、中には時間がかなりかかってしまう場合があります。
過熟白内障の場合
過熟白内障の場合、水晶体が非常に硬くなってしまっているため、超音波で水晶体を砕くのに時間を要します。
それでも水晶体が砕ける場合はよいのですが、超音波で砕けない場合は水晶体そのものを摘出する嚢外摘出手術を行わなければならない場合もあります。この場合は切開創も大きくなり、術後のリスクも高くなります。当然時間もかかります。
後嚢破損した場合
白内障の手術では後嚢という部分を残して手術するのですが、後嚢がもともと弱かったり、手技のミスなどで破損してしまう場合があります。この場合は通常の方法で眼内レンズをいれることができなくなる他、さまざまな処置が追加で必要になるため時間を要します。
一般的に白内障が進行しているほど、後嚢破損のリスクが高くなります。
眼科検診の重要性
今までお話ししてきたように、老人性白内障は手術時期を的確に判断して、熟練の術者が行えば比較的短時間に行える手術で安全性も高いです。
しかし、病院嫌いで眼科に行くことをしなかったり、また片目が見えているからまだいいかと自己判断をしていると、白内障であれば手術も時間もかかりリスクも大きくなります。
老人性白内障は60歳をこえるとだんだんと増えてきます。特に自覚症状がなくても年に1回くらいは眼科の検診を受けることをおすすめします。
まとめ
白内障の手術にはどのくらいの時間がかかるのか?
老人性白内障の分類
老人性白内障手術の平均的な時間
白内障手術に時間がかかってしまう要因
眼科検診の重要性