HbA1cは糖尿病診断のためには欠かすことができない血液検査の大事な項目です。糖尿病の指標としては血糖値がよく知られています。血糖値が測定時の一時的な状態を示すのに対し、HbA1cでは長期的な状態を把握できます。
ここでは HbA1cとは 何かをまとめました。
高いと糖尿病?HbA1cとは何でしょう?
HbA1cとは何をあらわす数値でしょう?
血液は、大きくわけて血漿という液体成分と血球成分とにわかれます。血球成分のうちの大半を占める赤血球の中には、ヘモグロビンというたんぱく成分が大量にあります。ヘモグロビンはからだのすみずみまで酸素を運ぶ重要な役割を果たしています。
このヘモグロビンと血液中にあるブドウ糖が結びついたものがグリコヘモグロビンという成分です。グリコヘモグロビンにはいくつか種類がありますが、このうち、糖尿病に深い関係があるのがHbA1cです。
エイチビー・エーワンシーまたはヘモグロビン・エーワンシーと呼ばれます。糖化ヘモグロビンともいいます。HbA1c数値は赤血球の中のヘモグロビンのうち、どのくらいの割合で糖と結合しているかを示しています。
血糖値が高いほどグリコヘモグロビンが作られやすくなるため、糖尿病の患者さんでは、血液の中のHbA1cの数値が正常な人に比べ、明らかに高くなります。
血糖値とHbA1c値
糖尿病の指標として血糖値を測定することは一般的によく知られています。血糖値とは、血液の中のブドウ糖の濃度をあらわします。
ブドウ糖はエネルギーとしてからだにとても大切なものですが、必要以上の糖分はかえって体に有害となるため、インスリンなどによって、その濃度(血糖)がいつも一定になるよう管理されています。
しかし、健康なひとでも、一日の血糖の数値は変動していて、特に食事の前と後では大きな差が出ます。そのため、空腹時血糖と食後2時間血糖などと食事時間が測定の目安として設定されます。
検査当日だけでなく、前日に絶食したり、食事量を減らすなどすると数値が低く出るなど、一時的な影響を受けやすい値です。対してHbA1cは長い期間の平均値として把握できる指標です。
測定に使用するグリコヘモグロビンが含まれている赤血球はおよそ4か月の寿命があります。この4か月のあいだ、体内をすみずみまで循環してしている際に、余分な糖分とヘモグロビンが結びついてグリコヘモグロビンを生成していきます。
HbA1c値は赤血球の寿命の半分、すなわち1~2か月間のグリコヘモグロビン量の平均値として判断することができます。
検査前日に絶食していても、数値が低く出ることはなく、逆に検査前日に暴飲暴食をしても2~3か月摂生していれば、高く出ることもないなど一時的な要因は測定値にほとんど影響がありません。
ロングスパンでの数値のため、より正確な判断が下しやすくなります。また、糖尿病で血糖コントロールをしている患者さんは状態把握のめやすとして一般的に検査が行われています。
HbA1c値が高いと何が心配でしょう?
HbA1cは採血をして測定します。もっとも一般的に行われているHPLC法(高速液体クロマトグラフィ法)によれば4.3~5.8%が基準値とされています。検査値が高い場合に疑われる病気としては、糖尿病、腎不全、異常ヘモグロビン血症などが考えられます。
もちろん病気の診断はHbA1cのみでなく、血糖値その他の検査や症状などを総合的に勘案してなされるものですから、この数値のみで判断されることはありません。
またHbA1c値は年齢によっても変動があり、年齢が上がるにしたがって徐々に数値も高くなる傾向があります。恒常的に血糖が高いと糖尿病だけでなく、高血圧や高脂血症など生活習慣病を発症しやすくなるので、コントロールを心がける必要があります。
最近では低GI食品の販売や低GIメニューの開発なども盛んになっています。食事に気をつけ、適度な運動に取り組み、お酒を控えるなど、生活スタイルを見直し、健康な毎日を送りましょう。
まとめ
高いと糖尿病?HbA1cとは何でしょう?
HbA1cとは何をあらわす数値でしょう?
血糖値とHbA1c値
HbA1c値が高いと何が心配でしょう?