変形性股関節症 は加齢が原因で起こる確率は全体の20%です。残りの80%は先天的な原因があったり、脱臼後の治療が不十分であったりしたために起きると考えられています。
今回は変形性股関節症の原因と症状、そして治療のタイミングについて詳しく解説します。
変形性股関節症の原因から治療について
加齢だけが原因ではない変形性股関節症の原因
人間の関節の表面は、とても滑りのいい軟骨で覆われています。しかし、加齢とともに軟骨の水分が少なくなり、すり減ってきます。すり減った面はざらざらになり、滑りにくくなってくるのです。
関節の表面がざらつくと動き始めるたびに痛みを感じます。それでも動き続けていると血行が良くなり、痛みも軽くなります。しかしその状態で長時間運動を続け行くと、さらに痛みは強くなり最終的には安静にしていても痛むようになるのです。
この症状が股関節にあらわれれば「変形性股関節症」とよばれ、膝にあらわれれば「変形性膝関節症」といいます。変形性関節症は関節がある部分ではどこにでも起こる可能性があるのです。
痛みを感じてから病院に行っても「加齢による変化」といわれ湿布薬や痛み止めの注射で治療が終了されている人も多いのではないでしょうか。
しかし、変形性股関節症は加齢による原因だけではなく、先天性股関節脱臼や脱臼の治療後に骨頭が変形したり、臼蓋形不全を放置したりしたため骨が変形して発症している可能性があるのです。
放置すると悪化する変形性関節症の症状
初期は軽く股関節に痛みを感じます。放っておいても自然に治ることが多く、ほとんどの人は気にしません。その状態が10年ちかく続き、やがて歩くときに痛みを感じるようになるのです。痛みは次第に強くなり、股関節だけでなく大腿部分や膝へと広がっていきます。
安静にしていても痛みはおさまらず、左右の足の長さに違いが出るようになります。長さに違いが出ると、長時間の歩行は困難になり、骨の変形もかなり進んだ状態になっていきます。
この状態をレントゲン写真でみると関節の間は狭くなり、骨の異常増殖や軟骨の下の骨が固くなり穴が開くまでに悪化しているのです。
さまざまな視点から判断される変形性関節症の診断
変形性股関節症の診断は問診と触診、そしてレントゲン検査です。問診では、脱臼や先天性の股関節脱臼の有無など病歴が聞かれ、触診では、触ったときの痛み方や歩行するときの体の傾きをみます。
レントゲン検査をすることによって骨の形状や変形の度合いを把握し、最終的に治療方法が検討されることになるのです。
変形性股関節症に似た病気で、股関節炎や突発性大腿骨頭壊死症があります。長期間にわたってステロイド剤を服用していた場合や結核の可能性がある場合は変形性股関節症以外の病気の可能性も考えられるため、CTやMR画像をとって診断をすることになるでしょう。
日々進歩している変形性関節症の治療
変形性関節症であることがわかったら、早めに臼蓋形成術をしておくと骨の変形を予防することができます。痛みが強い時には、温熱療法や薬物療法を行うと効果的です。温熱療法は熱い蒸しタオルを痛い部分に巻き、冷めにくいように上から乾いたタオルで覆います。
患部に負担をかけないことが一番重要なので、体重を減らして歩くときには杖を使うようにしましょう。訪問先でも事情を話し、正座はしないようにします。
臼蓋形成術とは骨を切除して、骨の形をかえる手術のことです。骨の形をかえて股関節にかかる荷重を分散させます。切除する骨の場所や量は変形している程度や形によって違います。比較的若い人に使われる治療方法です。進行によっては、臼蓋形成術を行うだけですむこともあります。
臼蓋形成術が適応できないほど変形が進んでいる場合や60歳以上の人は、人工股関節に置き換える手術をします。人工股関節に置き換える場合は、入院期間がリハビリ期間も含めて2週間から3週間かかることが一般的です。
最近の人工股関節は耐久年数も長くなっているため、50代の方にも置き換える手術をすすめる医師もいます。人工股関節に置き換えると症状は劇的に改善します。手術のタイミングと方法は、整形外科医とよく相談して決めるといいでしょう。
まとめ
変形性股関節症の原因から治療について
加齢だけが原因ではない変形性股関節症の原因
放置すると悪化する変形性関節症の症状
さまざまな視点から判断される変形性関節症の診断
日々進歩している変形性関節症の治療