「筋肉が厚くなることは、心臓においては損となる肥大型心筋症(前編)では、心筋症の種類や症状についてご説明いたしました。後編では、さらに踏み込んで閉塞性肥大型心筋症や 肥大型心筋症 の治療法についてご説明いたします。
筋肉が厚くなることは、心臓においては損となる肥大型心筋症(後編)
血液を全身の送る邪魔をする閉塞性肥大型心筋症
肥大型心筋症の中で、左心室が全身に血液を送る道に心筋が増殖し、循環の妨げになることがあります。これを閉塞性肥大型心筋症といいます。出口が狭くなることは、十分に血液量を循環できず、特に脳への血流が不足すると失神してしまうことが多いです。
また、心臓自体にもそれ相当の圧力が必要となり、心臓に負担をかけてしまいます。
他に閉塞性肥大型心筋症は、左心房と左心室の間にある僧帽弁の働きに障害を生じさせることがあります。そもそも僧帽弁は心室から伸びる線維で調整されており、左心室が拡張すると線維が引っ張られて弁が開き、左心室が収縮すると緩んで閉まる構造です。
閉塞性肥大型心筋症では増殖した心筋により収縮時に線維を引っ張ってしまうことがあり、僧帽弁が閉まらないことがあります。血液を押し出す時に弁が閉まらないことは、血液が逆流してしまうため、左心房若しくは肺に負荷をかけてしまいます。これを僧帽弁閉鎖不全症といいます。
よって、この肥大型心筋症の中で閉塞性肥大型心筋症は重症となりやすいタイプなのです。
カテーテルで行う肥大型心筋症の治療
肥大型心筋症の治療の基本は薬物療法となります。降圧剤を投与して心臓の収縮を抑えます。閉塞性肥大型心筋症の場合も同様ですが、症状が改善しないときは増殖した心筋を切除する外科的な治療が必要となります。
僧帽弁閉鎖不全症が重度となった場合については弁置換術が必要になる場合もあります。
最近では増殖する心筋にエタノールを注入して壊死させ、血液の通り道を正常に開通させる手技があります。これを経皮的中隔心筋焼灼術といいます。カテーテルを心臓の冠動脈に通し、中隔枝という部位に達したところでエタノールを注入します。
外科手術ではないので、傷口は針穴程度ですみ、低侵襲手術として健康保険も使えます。この手技をできる施設は厚生労働省の管轄で地方厚生局が認可した医療機関に限ります。ホームページや病院内で掲示されていることもあるので、事前にチェックすることが必要です。
まとめ
筋肉が厚くなることは、心臓においては損となる肥大型心筋症(後編)
血液を全身の送る邪魔をする閉塞性肥大型心筋症
カテーテルで行う肥大型心筋症の治療