命の根源である心臓は、長い年月に渡り、一度も休むことなく動いています。それだけ心臓は頑丈でなければならなく、筋肉は強靭であることが望ましいことになります。しかし、心臓の筋肉が厚くなることは決して良いことではなく、病気として治療を行わなければなりません。
この心臓の筋肉が厚くなる 肥大型心筋症 はなぜ悪いのか、詳しく説明します。
筋肉が厚くなることは、心臓においては損となる肥大型心筋症(前編)
心筋症は大きく分けて3つ
心筋症は、何らかのきっかけで心臓の筋肉が変化してしまう病気です。心筋症は主に3つあり、心臓の筋肉が厚くなる肥大型心筋症、心臓の筋肉が薄くなる拡張型心筋症、心臓の筋肉が硬くなる拘束型心筋症です。
この3つの中で最も多いのは肥大型心筋症であり、50歳代以上の男性に多いのが特徴です。原因は遺伝によるものが多いといわれております。
筋肉が厚くなって何が悪いのか
腕でも足でも筋肉を鍛えることで筋肉が増加し、人間は太く厚くなった筋肉でパワーを得ることができます。心臓の筋肉が増加することは一見良いことに思えますが、実は心臓においては決して良いことではありません。
それは心臓の筋肉が増加するのではなく、正しくは増殖することであり、しかも不均一で部分的に増殖します。そして心臓の外側に向かって増殖するだけでなく、心臓の内側に向かって増殖することがあります。
心臓には4つの部屋がありますが、その中で左心室という部屋が、増殖した筋肉によりスペースが狭くなってしまいます。
本来そのスペースに血液が入り込み、左心室の動きで体全体に血液を送りますが、スペースが狭くなった左心室では通常よりも血液の量が減り、循環する血液量が減少してしまいます。循環が悪くなることで血液を頼る臓器に障害を生じます。これが肥大型心筋症の病気なのです。
肥大型心筋症の症状
前述したように左心室が拡張することで血液を取り込み、収縮することで血液を全身に送り出す働きに対し、肥大型心筋症は血液を取り込めるスペースが狭くなっているため、循環させる血液量が減少します。左心室は左心房から血液を取り込みます。
左心房の血液は肺で酸素化した血液が流れ込まれる部位であり、肥大型心筋症で1回の拍出する血液量が少ないことは、それだけ左心房や肺に血液が溜まってしまうことを意味します。
肺に血液が溜まってしまうと息切れの症状が出現します。また、肺に溜まった血液はその出口を失い、肺の外に血液を染み出してしまうことから、胸に水が溜まってしまいます。これを心不全といいます。
肥大型心筋症は時に失神してしまう症状があります。これは循環する血液量が少なくなり脳への血流が不足してしまうことか、心室頻拍という不整脈を併発することで起こります。
なぜ不整脈が起きるのか明確な原因は不明のままですが、心室頻拍自体は致死性不整脈であり、精査治療が必要となります。
このように心不全と不整脈が肥大型心筋症の主症状でありますが、実は無症状であることが多い病気です。高齢化や病気が進行することで心不全や不整脈の症状が出現しますので、診断されたあとも定期的に受診することが必要です。
まとめ
筋肉が厚くなることは、心臓においては損となる肥大型心筋症(前編)
心筋症は大きく分けて3つ
筋肉が厚くなって何が悪いのか