「辛い痒みが伴う皮膚掻痒症とは(前編)」では、皮膚掻痒症の症状や特徴についてまとめました。後編では、 皮膚掻痒症 の治療方法についてご説明いたします。
痒みが強い場合は、アイスノンで冷やす方法も有効です。
辛い痒みが伴う皮膚掻痒症とは(後編)
目安の1つ!ドライスキンは皮膚掻痒症の前段階
皮膚掻痒症を引き起こす目安になる前段階に、ドライスキンといって、肌のかさつきが進行します。皮膚が白くカサカサになる「乾皮症」や皮膚が貨幣状になり、ポロポロと落屑するようになったら要注意です。
皮膚が乾燥するメカニズムには暖房や乾燥しやすい季節、体の洗いすぎなどの因子と、新陳代謝の低下によって、汗腺や皮脂腺からの分泌が低下しスキンバリアが低下する老化現象が考えられます。
スキンバリアとは皮膚のうるおいのことを指します。うるおいが保たれることで外部の刺激から体を守っています。うるおいの構成は皮脂膜のトリグリセリドと角質細胞間脂質のセラミド、天然保湿因子の遊離アミノ酸で保たれています。
生成には新陳代謝が大きく関与していて、加齢によって新陳代謝が低下すると皮膚のうるおいがなくなり、皮膚の抵抗力が落ちた状態のドライスキンになってしまうのです。
ドライスキンは表皮剥離や皮膚の弾力性の低下、亀裂や掻痒感の皮膚トラブルにつながりますので、改善したい症状です。
皮膚掻痒症の根本的な原因は不明でも、強い痒みにドライスキンが関与していることは言うまでもなく、冬場における乾皮症は高齢者の約95%の方に症状がみられるという報告もあり、かさつく症状が見られたら保湿や水分補給をこまめにする必要があります。
皮膚掻痒症の症状が皮膚がんだったケースもある
皮膚掻痒症だと診断されていたら、数年後に皮膚がんが見つかることがあります。「痒み」だけの症状にとらわれず、体のどこかに「がん」があるかもしれないと疑うことも必要です。定期的な精査をしていない方であれば、一度精査を医師に希望してみるのも方法かもしれません。
自身の体を知っておくいい機会になり、定期的に経過を見ていくことで生活改善にもつながることでしょう。かかりつけ医で、基礎疾患があり高齢であれば、医師が定期的に腫瘍マーカー検査などを一般血液検査と並行して調べているかもしれません。
素人判断ではわかり得ないことが多いですから、しっかりと主治医に診てもらうことが望ましいでしょう。かかりつけ医同士があなたの情報を、共有できることも大切です。
他で診てもらうことが、医師に悪いと感じて黙っているという方がいますが、正しい診療ができなくなりますので止めたほうがいいでしょう。
皮膚掻痒症の治療
保湿軟膏や保湿ローション、必要であればステロイド軟膏のほかに痒みが強ければ抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、精神薬などが処方されます。
保湿剤には、水分の蒸発を防ぎ、角質水分量を増加させたいときには「エモリエント効果」のある保湿剤、皮膚の水分と保湿剤の成分が結合して蒸発を防ぐ、「モイスチャーライザー効果」があります。
医師は一人一人の皮膚の状態によって、その時に効果を発するものを処方してくれるでしょう。エモリエント効果のある軟膏では油脂性軟膏の白色ワセリンやプロペトが有名です。
モイスチャーライザー効果のある軟膏は尿素製剤のウレパールやケラチナミン、ヘパリン類似物質のヒルドイドなどがあります。炎症や湿疹がひどい場合には軟膏を混合したものを処方してくれるでしょう。
専門家に受診し判断を仰ぐ姿勢が、皮膚掻痒症を早く治す方法になります。
できるだけ痒みを抑制・軽減する方法
痒みを誘発させないために、皮膚に密着する肌着は木綿に変え、刺激を与えない工夫が必要です。ポリエステル繊維は摩擦が大きく、皮膚への刺激が強いので避けるほうが無難です。
ドライスキンの症状がみられる場合には十分な水分補給や入浴時は熱すぎないお湯に浸かる、洗いすぎないことです。保湿剤を使う場合には、十分な量を塗布し皮膚を改善させます。
強い痒みが出現した場合には一時的にアイスノンなどでクーリングするのも方法です。
まとめ
辛い痒みが伴う皮膚掻痒症とは(後編)
目安の1つ!ドライスキンは皮膚掻痒症の前段階
皮膚掻痒症が皮膚がんだったケースもある
皮膚掻痒症の治療
できるだけ痒みを抑制・軽減する方法