「胃がんは治ると言っても、侮ってはいけません(前編)」では、胃がんとはどのような病気なのか、またその症状や検査方法にはどのようなものがあるのかご紹介しましたが、後編では 胃がん の治療方法や後遺症についてご紹介いたします。
早期胃がんであれば90%以上は治る可能性がありますので早期発見をお勧めします。
胃がんは治ると言っても、侮ってはいけません(後編)
胃がんを治す
検査で胃がんと診断されたら、リンパ節廓清術をはじめ病巣の切除手術を行います。発生部位や進行の程度に応じて、胃全摘除、多臓器合併の部分切除をすることになります。
手術に際しては、がんの肉眼型、組織型浸潤の拡がり、深さ、転移の有無などを参考にして、患者さんの年齢、合併症の範囲などを加味して術式が選ばれます。
内視鏡治療
検査技術の向上や検査を受けるチャンスの増大から、最近では、早期の胃がんが発見されることが多く、その場合、リンパ節転移のない胃がんと考えられます。
胃粘膜の浅いところにあって2cm以下の表面隆起型、表面陥凹型はリンパ節への転移がほとんどないので当然、局所病巣だけを取り除けばいいので、内視鏡治療の対象になります。高齢者で手術対応が難しい場合などでは、2cm以上でも内視鏡治療の対象になります。
手術治療
通常の胃がん手術は開腹手術が行われますが、近年では早期がんに対して腹腔鏡手術が行われるようになっています。
進行がんに対しては、麻酔法や術前術後の管理法が進歩していますので、転移巣、浸潤巣までの合併切除を意図した拡大手術が行われるようになり、術後のガン細胞の残存、転移、腹膜播種などを考慮して抗がん剤が投与されます。
進行した胃がんでは付近のリンパ節にがん細胞が転移している場合が見られます。リンパ節に転移したがん細胞は、やがては胸管というリンパ管に入りこみます。
そうなる前に、胃がんの手術では胃の切除と同時に、付近のリンパ節や他の部位のリンパ節を切除します。こうすることで、転移の可能性を断っているのです。このことをリンパ節廓清術と言います。
化学療法治療
進行がんの場合、術後に再発予防のために抗がん剤を使います。通常は1年間服用します。また、手術前に完全取り除くのが難しい場合に、使用することもあります。
切除できない胃がんに対して、抗がん剤を使いますが、なかなか薬だけで胃がんを治療するのは難しいのですが、手術ができないと思われていた胃がんに抗がん剤を使用した結果、手術が出来るようになった場合も出てきており、進歩の度合いが早くなっています。
胃がん手術の後遺症
術後に腸の癒着などで便やガスが出なくなることがあります。それからダンピング症候群と言って、胃切除後の食物がいきなり腸に入り込むので、血糖値のバランスが崩れ、頻脈や動悸、冷や汗、めまい、脱力感など不快な症状が起きます。
また、鉄分やビタミンB12が吸収されにくくなっているので貧血が起きます。カルシウムの吸収が悪くなって骨の異常も見られます。胃の入り口(幽門)がない場合には、逆流性食道炎から苦い水の逆流や胸やけが起こりやすくなります。
胃がんのステージごとの治療成績
がんはどの部位でもそうですが、何よりも早期発見が大切です。特に胃がんは日本胃癌学会のステージごとの治療実績で示しているように、5年生存率はステージⅠa93.4%、ステージⅡb.87.0%、ステージⅡ68.3%、ステージⅢa50.1%、ステージⅢb30.8%、ステージⅣ16.6%となっています。
これからすると、早期胃がんであれば90%以上は治るわけですから、ぜひ、診断を受けることをお勧めいたします。
まとめ
胃がんは治ると言っても、侮ってはいけません(後編)
胃がんを治す
内視鏡治療
手術治療
化学療法治療
胃がん手術の後遺症
胃がんのステージごとの治療成績