胃がんは、近年の医療技術の進歩によって早期発見すれば完治する確率の高いがんになりました。その結果、トータルでの生存率も高くなっています。しかしがんの進行度合、つまりステージによって生存率は変わってきます。
今回は、 胃がん の罹患者数の推移と、 生存率 の意味について詳しくご説明します。
胃がんの罹患者数の推移とステージごとの生存率
胃がんの罹患者数と死亡者数の推移
2015年の国立がん研究センターのデータによると、がんによる死亡者数の予測はおよそ37万人。その内、胃がんの罹患予測数は13万3千人、死亡予測数は4万9千人強です。死亡予測値が最も多いのが肺がん、次いで大腸がん、胃がんの順です。
2014年の予測では、肺がんの次に胃がんが多かったのですが、2015年は僅かながら大腸がんが胃がんを上回っています。がん罹患者数の予測数は、第1胃位が大腸がん、次いで肺がん、胃がんの順になっています。
罹患者数、死亡者数共に胃がんの順位は下がっています。長期的な傾向として、胃がんの罹患者数は上昇していますが、死亡者数はほぼ横ばいで推移しています。つまり、胃がんの生存率は上がっているということになります。
がんでよく使われる5年生存率とは
簡単にいえば、がんの治療を開始してから5年後に生きている割合です。しかしそれは、がんが完治することとイコールではありません。がんが完治していることもありますが、再発していても5年後に生存している場合があります。また、5年以内にがん以外の原因で死亡する場合もあります。
では何故、5年という期間が基準になっているのか。それは、がんを取り除いてから5年経過しても再発がなければ、治癒したと判断されるからです。治療によって完全に取り除けなかったがんは進行が早く、ほぼ5年以内の検査で再発が発見されます。
5年以内に再発が認められなければ、それ以降は再発の可能性が殆どありません。ですので、生存率の基準が5年になっているのです。
また5年生存率には、実測生存率と相対生存率があります。前者はがんの治療を開始して5年後も生存している割合です。後者の相対生存率は、年齢性別が同じで、がんに罹って治療を始めた人と、がんではない人の生存率を比べた数字です。
つまり同じ年齢性別の人が、がんに罹った場合とそうでない場合に、どれだけ生存する率に違いがあるのかを示す数字です。5年相対生存率が高くなるほど、がんで死ぬ確率は低くなるということになります。
もし胃がんの5年相対生存率が100%になったとしたら、胃がんになっても5年は胃がんで死ぬことはないという理屈になりますね。
ステージ毎の胃がん生存率
国立がんセンターのデータによると、ステージ1で96.7%、ステージ2で64.4%、ステージ3になると46.7%と徐々に低くなり、ステージ4まで進行すると7.3%と生存率は急激に低くなります。
ステージ1における完治率は非常に高いのですが、ステージ3以上になると5年生存率が5割を切っています。つまりステージ3以上にがんが進行すると、治療が難しく再発の可能性も高くなるということです。
高齢者の場合は、若い人に比べてがんの進行は遅いものの、外科的手術や抗癌剤による治療に耐えられないケースもあります。また他の病気を併発するリスクもあって、5年生存率は高齢者ほど低くなると考えられます。
ステージ4になると最先端の医療技術や設備による治療をしたとしても胃がんが完治する可能性は低く、場合によっては治療方法がもう無いということで見放されるケースもあります。そして延命のための、抗癌剤などの副作用に苦しむだけになる可能性があります。
それでは患者さんのQOL、つまり精神的物理的な生活の質が低下してしまいます。そのため、近年は代替治療によって患者さんの負担を軽減する方法を検討するケースが増えてきました。
しかし代替治療は科学的根拠に乏しく、効果が科学的に実証されているわけではありません。代替治療を選択される場合は、医師とよく相談されることをお薦めします。
まとめ
胃がんの罹患者数の推移とステージごとの生存率
胃がんの罹患者数と死亡者数の推移
がんでよく使われる5年生存率とは
ステージ毎の胃がん生存率