「ステージ3の胃がん、と診断されたら(前編)」では、胃がんの3A期の状態や治療法についてご説明いたしました。後編では ステージ3 B期の 胃がん の状態や治療法についてご説明いたします。
外来での化学療法は、日常生活と両立し抗がん剤治療を受けることができます。
ステージ3の胃がん、と診断されたら(後編)
胃がんのステージ3B期の状態
3B期は「多くのリンパ節への転移があり、胃の表面までがんが広がっている」状態で、さらに「他の臓器への転移が認められる」場合も含みます。
自覚症状は3A期と同じですが、よりいっそう症状が強く不調に感じます。放置された状態だと腹水や胸水が溜まり、痛みを感じるようになります。
3B期の治療は
多くは開腹手術による胃の全摘出に加え、化学療法を行うことになります。胃の全摘出は、下から小腸を引き上げて胃の代用として、食道から入った食べ物を一旦そこに貯めてから十二指腸に流れるように手術します。
胃の全摘出に加え、肝臓や膵臓、結腸といった胃の周辺の臓器を含めた拡大手術が行われます。
そのため術後の回復に時間を要し、合併症のリスクの上昇や、日常生活に苦痛を伴う可能性もあります。拡大手術による侵襲が大きな負担になる場合には、拡大手術は行われないこともあります。
3B期の5年生存率は30%程度です。3B期は広範囲に転移が認められるため、手術によってすべて取り除くことは困難です。再発の可能性が高く、化学療法を続けることで生存率が高まります。
化学療法は再発防止のため術後に行われますが、がん細胞を縮小させて切除するために術前に行われることもあります。再発を防ぐだけでなく、転移が認められたが切除できなかった場合も化学療法が一般的に行われます。
胃がんの化学療法
抗がん剤を内服する、注射する、もしくはその両方を行います。入院中に開始しますが、術後の経過もよく、副作用も落ち着いていれば退院して外来での化学療法に切り替わります。
以前よりも副作用が抑えられ、日常生活と両立して抗がん剤治療を行うことができるようになってきています。術後の化学療法の期間は症例によって違いますが、内服薬による治療は1年程度です。主な副作用は吐き気や嘔吐です。
また、便秘や下痢をすることもあります。薬剤によっては動悸、息切れ、むくみ、倦怠感、口内炎、皮膚や爪色の変化、手のひらや足の裏の痛みなどの症状があります。抗がん剤治療による脱毛は、治療が終了すると再び髪の毛は生えてきます。
前述したように、術前の化学療法は病巣を縮小させて手術をしやすくするため、術後の化学療法は再発を防ぐために行われます。
種類によって抗がん剤は強い副作用があるため、すべての患者さんが対象となるわけではなく、デメリットが大きい場合は行われないこともあります。体力があり内臓機能が保たれている、他の病気が落ち着いていることが前提となります。
その他の治療について
がん細胞を体外から高エネルギーの放射線で破壊して治療する放射線治療は、他のがんの治療では一般的に行われています。しかし、胃がんに関しては現在のところ、手術ほど確実ではありませんので行われることはまれです。
緩和療法とは苦痛を取り除き、その人らしく安楽な状態で過ごせるようにケアをすることです。胃がんの場合、具体的にはがんに伴う疼痛、吐き気を抑えることが一番になります。モルヒネなどの医療用麻薬も積極的に用いられます。
病巣を取り除く目的の手術ではなく、食事が通過するようにバイパス手術を行うこともあります。また、死を意識しての恐怖感や不安な気持ちに寄り添い支えることも、広い意味での緩和ケアということがでます。
まとめ
ステージ3の胃がん、と診断されたら(後編)
胃がんのステージ3B期の状態
3B期の治療は
胃がんの化学療法
その他の治療について