胃潰瘍というのは、胃の病気の中で最もよく知られた病気です。胃の内部から胃壁に穴があいて慢性的に胃が痛み、時には吐血することもあります。昔は胃潰瘍の原因というと、ストレスや暴飲暴食だと思われていました。しかし現代では、その他にも原因があることが判明しています。
今回は、 胃潰瘍 になるメカニズムと3大 原因 についてご説明します。
胃潰瘍になるメカニズムと3大原因
胃潰瘍になるメカニズム
胃潰瘍が起こる原因は、胃酸から胃壁を守る胃粘膜の防御機構のシステム不全によるものです。食物を消化するために、強力な胃酸と消化酵素(ペプシノーゲン)を主な成分とする胃液が胃壁から分泌されています。これにより食物は、胃の中で消化されると同時に殺菌されます。
胃酸は非常に強い酸ですが、通常は胃酸によって胃壁が傷付けられることはありません。それは胃粘膜の防御機構により、表面の胃粘膜から胃壁を保護する物質が出て胃を守っているからです。胃粘膜の防御機構のシステムが異常をおこし弱まることで胃潰瘍になるのです。
ヘリコバクター・ピロリ菌
ヘリコバクターとは、螺旋状の細菌という意味です。その多くは胃の幽門部に見つかり、口から感染して胃の粘膜に生息します。ピロリ菌に感染する年齢は、日本人の場合だと十代が10%程度なのですが、五十代以上になると60%以上と言われています。
ピロリ菌はアンモニアを作り出し、胃酸を中和させて胃の中に生息します。この時、アンモニアだけでなく有害な活性酸素が多く作られ胃粘膜を傷つけるのです。そして胃の中に住みついたピロリ菌は毒素を出して、更に胃粘膜を傷つけ続けるのです。こうしてピロリ菌によって傷つけられた部位は、胃酸の刺激で更に傷を深め胃潰瘍を引き起こします。
しかし、ピロリ菌に感染したからといって必ずしも胃潰瘍になるわけではありません。ピロリ菌に感染して胃潰瘍になるのは、ほんの数%と言われています。しかしピロリ菌が原因の胃潰瘍は再発しやすく、治りにくいと言われています。
また、ピロリ菌に感染した人は善玉コレステロール値が低く、白血球が増加する傾向があり心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいので特に高齢者は注意が必要です。ピロリ菌を除菌するには、抗生剤2種類と抗潰瘍剤1種類を1週間ほど内服します。それにより、85%の確率でピロリ菌の除菌が可能になります。
解熱鎮痛薬が原因とされるNSAIDs潰瘍
NSAID(エヌセイド)とは、非ステロイド性抗炎症薬。一般的な解熱鎮痛剤であるアスピリンやイブプロフェンなどです。NSAIDs潰瘍は解熱鎮痛剤の副作用によって胃の粘膜を保護する防御機構に異常が起こり、胃酸が胃壁を傷つけて潰瘍を引き起こすものです。
NSAIDs潰瘍の場合、胃の痛みなどの自覚症状がないまま潰瘍が進行することがあります。心筋梗塞や脳梗塞の再発を防ぐために、低容量ですがアスピリンを長期に服用することがあります。しかしアスピリンもNSAID(エヌセイド)ですので、胃潰瘍を起こす要因になる可能性があります。
解熱鎮痛剤の飲み方を間違えると、胃潰瘍を引き起こすリスクが高くなりますので注意してください。空腹時の服用、適量より多い量を服用する、違う種類の解熱鎮痛剤を同時に服用するなどといった行為は、胃潰瘍のリスクを高くしますので避けてください。
ストレス
肉体的、精神的に強いストレスを受けると、内臓の働きを調整している自律神経の働きに支障が起きます。その結果、胃の血流が悪くなり粘膜を傷つけて潰瘍が生じます。
よく解決困難な問題を抱えると、「胃に穴があく」と言った表現を使いますよね。それはつまり、精神的なストレスが胃潰瘍を引き起こし、それが更に悪化して胃に穴があいてしまうということですね。現代のようなストレス社会では、ストレスを感じないでいることは難しいでしょう。
だからこそ、軽い運動をするとか人に話を聞いてもらうなど、少しでもストレスを解消して溜め込まないようにすることが大切になります。
まとめ
胃潰瘍になるメカニズムと3大原因
胃潰瘍になるメカニズム
ヘリコバクター・ピロリ菌
解熱鎮痛薬が原因とされるNSAIDs潰瘍
ストレス