現代人は社会のいろいろな場面で、肉体的、精神的なストレスを感じ、それを溜め込んで生活しています。これが自律神経に変調をきたし、胃酸が過剰に分泌されて、胃の粘膜が荒れ、やがて 胃潰瘍 の 初期症状 としてあらわれてきます。
今回はその初期症状について見ていきましょう。
胃潰瘍の初期症状は現代社会で起こるストレスが原因!
胃潰瘍は現代人のストレス疾患
現代社会のいろいろな場面で人はストレスを溜め込む傾向にあります。このストレスが胃潰瘍という病気になる主な要因にとされています。他にもタバコや酒、コーヒー、刺激の強い香辛料などの過剰摂取も原因となります。
胃潰瘍とは、胃酸が原因で起こる潰瘍のことです。強力な消化液の胃液と、胃壁を守る粘液とのバランスが崩れ、胃の粘膜が破壊してしまうことによって起こる病気です。
胃液には胃酸が含まれており、胃の粘膜を消化してしまうほど強い酸性度があります。そのため胃の粘膜が消化されないように、胃は粘膜を出して防御してバランスが保たれています。
ところが、このバランスが崩れ、胃酸が強くなって体の抵抗力が弱くなった時に粘液の分泌が減少して、胃酸が胃の粘膜を消化して傷つける、穴を開けるようになります。
このとき、体にその異常を知らせる(胃潰瘍という病気を知らせる)初期的な症状がいろいろな形で出てきます。
胃潰瘍の初期症状と傾向
胃潰瘍の初期症状や症状はさまざまなものがあり、一般的に多い症状や、少ない症状があります。
症状として最も多いのは、心窩部痛です。異常を訴える人の半分以上がこの症状です。心窩部痛(しんかぶつう)とはみぞおちの痛みのことです。焼けるような感じ方もあります。空腹時又は夜間にこの痛みがある症状です。
次に多いのは食欲不振、何となく食欲がなくなり持続すると体重が減少してきます。
腹部の膨満感を訴える人も多いです。膨満感とは腹全体または部分的に張った感じ、あるいは腹が張って苦しい状態のことです。
そして胸焼けや悪心を訴える人もいます。悪心(おしん)とは、のどから胸、胃にかけて感じられる嘔吐が起こりそうな不快な感覚のことです。食後にみぞおちに鈍痛や痛みや不快な感じを訴える人も多いです。
その他、嘔吐、ゲップ、背部痛の人や、少数ですが、吐血、下血、下痢、便秘などの症状を訴える人もいます。
胃痛と食事の関係は深いです
食事と胃痛(疼痛)との関係は深く、胃潰瘍では食後60分から90分後に痛くなる場合が多いです。
十二指腸潰瘍では空腹時に痛くなりますが、この判別はかなり難しいようです。
十二指腸潰瘍の方がやや右側に寄ったところに痛みが出る傾向があります。また、年齢的にも十二指腸潰瘍は若い人が多いです。
警告症状
胃潰瘍には上記のようにいろいろな症状が出ますが、特に思い当たる節のない体重減少や、吐いたものの中に血が混じる、あるいは真っ黒の便が出た場合、この症状を警告症状といいます。胃潰瘍の可能性が高いので、至急病院での診察、内視鏡での検査をしてくださいという警告です。
胃潰瘍ではない症状もある
研究報告によると、胃がもたれる、胃が痛い、不快感がある、膨満感がある、と訴える6割くらいの人がFD(機能性ディスペプシア)と呼ばれる病態の人です。
FDとは胃潰瘍や癌などがあるのではないかと疑うような胃の不快症状、例えば、胃がもたれる、胃痛があるのに、検査をしても症状の原因になりそうな病変が見つからないことです。
胃潰瘍を含め良性疾患の可能性が高いため、胃酸を抑えるような内服と胃の粘膜を保護するような薬、胃の運動を改善するような薬を処方すれば、大体症状が軽減します。
内視鏡検査が必要な理由
症状が軽ければ、薬を処方して治る場合もありますが、上記の症状が出た場合はいかなる場合も基本的には内視鏡による検査が必要です。その理由を次にあげます。
- 症状を治すための投薬期間の決定
- 良性であっても、その後の配慮のため
- 胃癌やリンパ種、膵癌などの悪性腫瘍が隠れている場合がありますので、これを発見するため
- ピロリ菌の除菌判断のため
- その他の病根があるかないかの判断のため
などです。消化器科できちんと画像診断を受けましょう。
まとめ
胃潰瘍の初期症状は現代社会で起こるストレスが原因
胃潰瘍は現代人のストレス疾患
胃潰瘍の初期症状と傾向
胃痛と食事の関係は深いです
警告症状
胃潰瘍ではない症状もある
内視鏡検査が必要な理由