人工呼吸器 の初期 設定 項目には、換気様式、吸入酸素分画、1回換気量、換気回数、呼気終末陽圧(PEEP)、アラーム、加温加湿器などがあります。
自発呼吸がない場合は調節換気のCMVモードで、自発呼吸がある場合はSIMV、CSV、補助/調節などを選択します。換気様式には調節換気と部分的補助換気があります。
命を救う人工呼吸器の設定は?
人工呼吸の役割について
呼吸器系の役割は、体内への酸素の取り込みと二酸化炭素の排出です。適切な換気量の維持、肺の酸素化能の改善、二酸化炭素排出の促進や呼吸仕事量の軽減などは人工呼吸の目的です。人工呼吸器からの離脱や予後の改善は呼吸管理の目標です。
合併症の予防と安全管理は人工呼吸管理をする上で重要です。自発呼吸が不足・消滅している、酸素のみでは酸素化が不十分である、強い呼吸努力や呼吸困難感があるなどの場合は人工呼吸管理の対象となります。
無気肺、肺水腫、肺炎、ARDSなどの肺疾患は肺酸素化能の低下につながります。中枢性肺胞低換気、胸郭運動障害や気道肺障害は二酸化炭素排出障害を起こします。
中枢性肺胞低換気には薬物、中枢神経疾患や代謝性アルカローシスが、神経筋疾患、横隔神経麻痺、中毒、薬物、肥満などは胸郭運動障害に、閉塞や慢性閉塞性肺疾患などは気道肺障害に該当します。
人工呼吸が適応される場合は、呼吸数が35回/分以上で換気量が少なく、酸素投与にもかかわらず低酸素血症や高炭酸ガス血症がみられる場合などです。
今回は、人工呼吸器の設定についてお話します。
人工呼吸器の初期設定は、自発呼吸がない場合の換気様式は持続強制換気(CMV)で、ある場合は同期式間欠的強制換気(SIMV)、持続自発換気(CSV)を選択します。
1回換気量(VT)は、成人であれば8~10ml/kg、小児は12~15ml/kgです。呼吸回数は成人で10~15回/分、最高圧レベル:呼気時間(I:E比)は1:2です。
吸入気酸素濃度(FiO2)は60~100%(症状により異なる)、PEEPは3~5cmH2O(症例により選択)、トリガー感度は-1~-2cmH2Oです。
人工呼吸器の設定は、まず最初に呼吸状態、病態を考慮し換気モード、換気様式を決定します。
その後、順次FiO2、VT、プレッシャーサポート(PS)を決定していきます。自発呼吸がなければアシストコントロール(A/C)CMV、自発呼吸はあるが十分でない場合はSIMV、自発呼吸がある場合はCSVが基本になります。
自発呼吸をサポートするモードはCMVですが、その方法にはプレッシャーサポート(PSV)とシーパップ持続気道陽圧(CPAP)があります。
換気様式としては従量式(VC)と従圧式(PC)があります。
従圧式はI:E比を設定し分時換気量を決めますが、PaO2のモニタリングが必要になります。
高濃度酸素による肺障害を防ぐため、FiO2は1.0からスタートし、24時間以内に0.6~0.5まで徐々に下げていきます。
1回換気量(VT)と呼吸回数(f)を乗ずれば分時換気量になるので、VTが6~10ml/kgに設定し、VTと呼吸パターンからPSを設定します。
SIMVの初期設定例としては、FiO2が1.0,VTが6~10ml/kg、PEEPは3~5cmH2O、I:E=1:2、ピーク気道内圧は40cmH2O以下、PSは10~15cmH2O、呼吸数について、拘束障害は14~25回、閉塞障害は6~12回に設定します。
人工呼吸からの離脱
人工呼吸器の離脱は人工呼吸器の装着時から始まっています。離脱開始の前提として、原疾患が改善していること、酸素化能や換気能力が十分であることなどがあげられます。
PaO2が60~100mmHgになるようにFiO2およびPEEPを下げていきます。PaCO2が50mmHg以下を目安にIMVの換気回数あるいはPSVのPS圧を減少させます。
人工呼吸の合併症
人工呼吸の合併症には、気道確保や陽圧換気などにともなうものがあります。気道確保による気道損傷、感染、喀痰排泄困難、発生不能などが発生する場合があります。気管挿管や人工呼吸期間が長くなるほど、呼吸器系感染症の発生リスクが高まります。
陽圧換気による合併症には、気胸、気縦隔、皮下気腫、BPDなどの圧損傷、酸素中毒、循環制御、肝・腎機能低下、水分貯留、脳圧亢進などがあります。
また、消化管出血、ICU症候群、呼吸筋力低下、呼吸器依存・不同調などの合併症が起こる場合があります。
まとめ
命を救う人工呼吸器の設定は?
人工呼吸の役割について
人工呼吸からの離脱
人工呼吸の合併症