痔の手術は痛いといわれていた時代がありましたが、痔の手術は日々進化しています。痛みを伴わないだけではなく、傷口を極力小さくし短時間で終了する手術方法も出てきました。確実な治療方法になるかは今後の経過次第ですが、現段階で保険適用となっている手術もあります。
今回は、これから期待できる新しい 痔の手術 方法を3つ紹介します。
期待できる新しい3つの痔の手術
ICG併用レーザー療法
痔核にICGとよばれるレーザー光線に反応する薬剤を注入して、薬剤が入った部分だけをレーザー光線で焼いて固める手術方法です。薬剤が入った部分までしかレーザー光線が届かないため、安全に行える手術です。
メスを使って痔核を切除しないため手術としては簡単ですが、十分な効果を得るためにはどこまで薬剤を注入してレーザー光線を照射するべきかの判断が重要になってきます。またレーザー光線は、疼痛がある外痔核に当たると腫れや強い痛みがでるため内痔にしか用いることができません。
粘膜が出ている痔核にも使えないため、内痔のみでかつ粘膜があまり出ていない痔核のみ用いることができる手術方法です。該当する症例は限られますが、現段階で保険適用の手術方法です。
現在、内痔核の手術は注射療法とゴム輪結紮療法が主流です。注射療法は、薬剤を注射で注入するところはICG併用レーザー療法とかわりないのですが、痔核を切除するのではなく痔を固める薬剤を注射して出血をとめる方法です。
内痔核のため注射をしても痛みは感じないため麻酔なしで治療ができますが、止血できる期間は2年程度しか保持することができない方法です。
一方、ゴム輪結紮療法は外に出てしまった内痔核に使える手術方法です。器械を使って痔核の根元にゴム輪をはめて結びます。徐々にきつく締めあげ、約1週間で痔核をとることができます。出血をすることもなくメスも使わないため外来で小手術として行うことができる治療方法です。
しかし、外痔核は痛みを感じるためゴム輪で縛ることはできません。また小さすぎる痔核や大きすぎる痔核にも適用が難しいという問題点もあります。
OC-108
ICG併用レーザー療法は、粘膜が出てしまった症例は対応できませんでしたがOC-108は粘膜が出てしまった痔核に使える方法です。粘膜が出てしまった痔核は今まではメスを使っての手術が主流でしたが、OC-108は今まで手術していた痔核に注射するだけで90%が治癒します。
方法は、内痔核にジオンといわれる硫酸アルミニウムカリウムを注射し痔核を繊維化します。しかし、この方法は強い薬を使うため使い方によっては直腸が狭窄する可能性があります。
また注射方法も技術を必要とするため、硫酸アルミニウムカリウムを使うためには医師が使い方の講習を受けることを条件に販売されることになっています。これから副作用や効果については研究と検討が必要な方法です。
器械吻合器を使った手術
外に出てしまった痔核を肛門の中に戻したときにでた腸のゆるみを器械吻合器で一回に切除し縫合する手術方法です。今までの手術方法だと、外に出てしまった痔核を直接切除していたため疼痛を感じていましたが、器械吻合器で痔核をつるしあげておくため疼痛を感じることはありません。
しかし、器械吻合器を使った手術は痔核を切除するのではなく、肛門の中に戻しているため痔核は残ったままの状態になります。痔核を残していることによって再発の可能性が高くなるかどうかはまだ不明です。
また、肛門の外痔核が大きい場合は効果がないことや器械で吻合するときに半分のケースで筋肉も一緒に吻合し切除されてしまうことから、まだ問題点が残っていることも事実です。
まとめ
期待できる新しい3つの痔の手術
ICG併用レーザー療法
OC-108
器械吻合器を使った手術