がんは早期発見してあまり進行していない段階で治療をすると、予後がいいといわれていますが、その中でも腎臓がんは特に早期発見が重要だといわれています。腎臓がんの原因を知っておくと、異変に気づいて検査を受けるきっかけになります。
そこで、今回は 腎臓がん の考えられる 原因 とリスク要因について説明していきます。
早期発見が重要!腎臓がんの考えられる原因とリスク要因
がんは大きく3つに分類される
腎臓はわき腹あたりの肋骨の中、奥深いところにあり、左右ひとつずつ合計2つあります。血液をろ過して尿を作る働きがありますが、血圧の調整や造血に関係するホルモンをつくる器官でもあります。
腎臓は腎実質(じんじっしつ)で尿をつくったあと、腎盂(じんう)に尿が集まる仕組みの臓器です。
腎臓にできるがんは腎実質にできる「腎細胞がん」と「腎盂がん」が大半で、成人に多く発生し、小児に多く発生する「ウィルムス腎腫瘍」を含めて大きく3つに分類されます。
まれに肉腫、他の臓器からの転移でのがんもあります。腎細胞がんは、腎実質の尿細管の細胞ががん化したもので、腎盂がんは、尿路の細胞ががん化したものとなり、性質が全く違います。
腎臓がんという言い方は大きなくくりであり、それぞれ性質も治療法も異なるのです。
また「腎がん」と呼ばれるものは、腎細胞がんのことをさすことが多く、腎臓にできる腫瘍の70~80%を占めています。さらに、がん細胞を顕微鏡で見ることで次の5つの組織に分類されています。
最も多いのが「淡明細胞型腎細胞がん」、多数の小のう胞からなる腫瘍で転移がみられない「多房のう胞性人細胞がん」、タイプ1とタイプ2の細胞の形を持つ「乳頭状腎細胞がん」、境界がはっきりして比較的予後が良好な「嫌色素性腎細胞がん」、まれなタイプで予後不良とされている「集合管がん(ペリニ管がん)の5分類です。(泌尿器科・病理・放射線科腎癌取扱い規約2011年4月第4版より)
腎臓がんの原因は特定されていないがリスク要因はある
腎臓がんの原因は、実は特定されているわけではありません。しかし発病リスクとしては、日常の生活習慣、職業的な有害物質への接触、長期にわたる透析、遺伝因子などがあげられ、特に日常の生活習慣の中では肥満、喫煙、高血圧が発がんと関係が深いといわれています。
職業的な有害物質とは、アスベストやテトラクロロエチレンが指摘されており、その他、降圧剤服用や利尿剤服用、フェナチセン含有鎮静剤もリスク要因のひとつにあげられています。
腎臓がんのリスクを減らす生活
50代から70代で発生することが多く男女比では男性に多くみられ、一番のリスク要因は喫煙と肥満です。予防するためには喫煙者はまず「禁煙」、そして肥満が過度の場合は「減量」が必要です。
禁煙は要件を満たすと健康保険等が適用される「禁煙治療」を受けることができるようになったので、費用も心配いりません。
要件は、ニコチン依存症を診断するテストで5点以上、1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数=200以上(2016年4月より35歳未満にはこの要件がなくなりました)、直ちに禁煙を始めたいと思っている、禁煙治療を受けることに文書で同意している、の4点です。
減量のためには無理な食事制限はせず、過剰摂取の場合は程度に減らすことも大切ですが、ウォーキングやストレッチなど、無理のないように運動を継続していくことをおすすめします。
腎臓がんの早期発見のためには
健康診断や人間ドッグで手軽に受けられる「超音波検査」を受けてみることがおすすめです。身体に負担が少ない検査で、広く浅く調べることができますが、確定診断のためには更に詳しい検査が必要となります。
超音波検査で異常があった場合、確定診断のためには「CT検査」が必要となります。X線の被爆が多少ありますが、造影剤を注射することで血管内の様子を調べることができ、腎臓や腫瘍の部分の血管状態がわかるため、手術の参考にもなります。
CT検査では確定できない場合や、造影剤にアレルギーがあってCT検査ができない場合、がんが他の臓器にも広がっていることが疑われるときなどは「MRI検査」を行うこともあります。
血液・尿検査は、特異的な腫瘍マーカーはないので確定診断には関係しませんが、腎機能の状態や炎症反応からがんの進行速度を調べるなどのため必要です。
身体に異常を感じないうちから定期的に健康診断を受け、少し異常を感じたら早めにさらに詳細な検査を受けることをおすすめします。
まとめ
早期発見が重要!腎臓がんの考えられる原因は?
腎臓がんは大きく3つに分類される
腎臓がんの原因は特定されていないがリスク要因はある
腎臓がんのリスクを減らす生活
腎臓がんの早期発見のためには