「痔ろう」は芸能人などの有名人もなっていることから、とても辛く苦しい病気であり、しかも治りにくいというのをご存知の方も多いでしょう。また、治療方法を誤ると後遺症で一生苦しむことになりかねません。
痔ろう の苦しみから逃れて、きちんと治すためにはどうすればいいんでしょうか?
痔ろうの苦しみから逃れるには?
痔ろうとは?
「痔ろう(痔瘻)」とは蓮痔や穴痔とも呼ばれ、直腸と肛門周囲との間にトンネルができてしまうタイプのとても治りにくい痔です。また、直接的に痔ろうを発症するのではなく、肛門周囲膿瘍を経て痔ろうに至ります。
肛門周囲膿瘍は、肛門と直腸の間にある肛門腺などから感染をおこし、それが広がって膿が溜まった状態であり、発熱と激しい痛みを伴います。
このようにしてできた膿の袋が大きくなって肛門のまわりの皮下にまで広がると、皮膚が破れたり切開排膿することで直腸から肛門の周りへのトンネルができてしまいます。
排膿して治ってしまうのであればトンネルは塞がってしまいますので問題ありませんが、肛門周囲膿瘍になってしまう人は免疫が低下していることが多く、ほとんどの場合は炎症を繰り返してずっと治らないという経過をたどります。
また、このトンネルが枝分かれしてさらに悪化したり、まれに癌化することもあります。
痔ろうを治すには?
肛門周囲膿瘍の段階であれば抗生剤の投与と切開排膿によって治癒することも期待できますが、痔ろうまでいってしまうと基本的に手術による治療が必要となります。
痔ろうは括約筋よりも深いところにできるため、手術を行う場合には括約筋を切開することによる影響がどの程度になるのか慎重に見極める必要があります。
後遺症がひどい場合には、括約筋が変形したりゆるくなってしまい、便やガスが漏れてしまうような状態になることもあります。括約筋の変形を治す手術はとても高度な技術を要するため、いかに後遺症を残さないような選択をするかが重要となります。
皮膚や粘膜の部分だけにとどまる「単純痔ろう」の場合には、皮膚を切開してトンネルを全て切除する「開放手術」が主に選択されます。
この手術は病巣を全て除去できるため再発の危険が少なく、浅い部分であれば括約筋へのダメージもほとんど無いため、後遺症のリスクもおさえられます。
一方で、括約筋などの筋肉を貫くトンネルができている「複雑痔ろう」の場合には、開放手術では後遺症を残す危険が大きいため、「くりぬき法」と呼ばれる手術を選択することが多くなります。
この手術は括約筋を温存する術式なので便漏れなどの後遺症を最低限におさえることが可能ですが、高度な技術が必要な手術であることと、病巣を全て除去することが困難なため再発の可能性があることを考慮する必要があります。
最新の治療法は?
開放手術とくりぬき法以外の方法で、新たに広く普及し始めている治療法にシートン法というものがあります。まず電気メスで痔ろうの悪い組織を取り除いたうえで、その穴に特殊なゴムひもを通し、肛門から出して輪にして結びます。
これは、体が異物を追い出そうとする働きを利用した治療法であり、ゴムひもが少しずつ浅いところに移動して最終的にぽろっと取れます。
括約筋の変形などのリスクがほとんどないなどの利点がありますが、自然に移動して取れるのを待つため、個人差はありますが数ヶ月ほどかかります。
浅ければ短く、深ければ長くかかりますが、ゴムひもの締め具合などによって治療期間や予後に影響が出ることもありますので、経験豊富で評判の良い医師に治療してもらうことをおすすめします。
肛門周囲膿瘍と痔ろうの予防には?
肛門周囲膿瘍と痔ろうになりやすい人の特徴として、下痢をしやすいというものがあります。肛門周囲膿瘍は、肛門と直腸の境目にある歯状線と呼ばれるくぼみに下痢便が入り込み、そこで繁殖した菌が肛門腺に感染し広がってしまうことからおこりますが、通常の便であれば歯状線に入り込むことはありません。
つまり、下痢をしないということが予防を考えるうえでとても大切なことになります。また、洗浄便器は清潔で良さそうですが、肛門内に水が入り込むような使い方をすると下痢と同じ状況を作ってしまうため、逆効果になってしまいます。
腸内環境を改善し、免疫をあげるような食事や生活習慣を継続することは、すぐに結果が出ないため一見遠回りのようですが、肛門周囲膿瘍と痔ろうを予防するうえでも結局は近道といえるのではないでしょうか。
まとめ
痔ろうの苦しみから逃れるには?
痔ろうとは?
痔ろうを治すには?
最新の治療法は?
肛門周囲膿瘍と痔ろうの予防には?