寝たきりの高齢者に起こりやすい褥瘡ですが、家族がそんな状況で苦しんでいるのを見るのは苦しく悲しいものです。お世話をする立場でできることは何かあるのでしょうか?
また、 褥瘡 の 好発部位 やできやすい環境、そして効果的な対策について知ることによって、できるだけ褥瘡ができないように、重症化しないようにしてあげることができるかもしれません。まずは知ることから始めてみましょう。
褥瘡の好発部位とその対策とは?(前編)
褥瘡はなぜできる?
まずは褥瘡がなぜできてしまうのかについて考えてみましょう。私たちが普段生活する中で、皮膚がずれてしまったり、そこが剥がれて皮下組織がむき出しになってしまうなんていうことはほとんどありません。では、なぜ寝たきりの高齢者には褥瘡が発生してしまうんでしょうか?
褥瘡ができてしまう条件で、まず最も重大な要因は血行不良です。皮膚は血管から酸素や栄養を受け取っていますが、この血流が途絶えてしまうと約2時間ほどで皮膚は壊死してしまいます。
そうなる前に寝返りをうったりして体を動かせば、皮膚や皮下組織への血流が回復して壊死することはありません。
血行不良の原因で最も大きいものは圧迫ですが、眠っているとどうしても骨の出っ張った部分には体重がかかりやすく、圧迫されてしまいます。そのまま長時間同じ状態が続いてしまうと、皮膚や皮下組織の壊死がおこります。
すぐには変化が無かったとしても、おむつ交換や清拭の時に、軽く触ったりこすったりしただけで皮膚がずれたりしてしまうのです。そして、しばらくするとその部分の皮膚は剥がれて皮下組織がむき出しになってしまいます。
なぜ私たちは褥瘡にならないのか?
なぜ私たちは褥瘡にならないのかと言えば、熟睡していて記憶に無くても、実は頻繁に寝返りをうったりして体を動かしているために、2時間以上も同じ部位が圧迫され続けて皮膚が壊死するような状況は起こりません。
つまり、寝たきりの高齢者や体が麻痺して動けない人に褥瘡ができてしまう大きな要因は、体を動かせないために同じ部位が連続して圧迫されることなのです。
また、そのような方は食事の摂取も難しいことが多いために栄養状態が悪く、余計に褥瘡が起こりやすく、治りにくくなってしまいます。
栄養状態が悪いと皮下組織の材料となる脂肪細胞が不足して、皮下組織はスカスカになって余計に弱くなってしまいます。
褥瘡の好発部位とは?
褥瘡の好発部位は、骨が出っ張っていて寝ると圧迫されてしまう部位になります。寝る姿勢によって違ってきますが、特に以下のような部位には褥瘡が多く発生するので注意が必要です。
仰臥位
仙骨部、背部、踵部、肘部、後頭部
側臥位
大転子部、肩鎖関節部、側胸部、膝関節側部、足関節側部
腹臥位
膝関節部、陰部、足部、前胸部、顔面
座位
臀部、肘部
これらの好発部位については、体位変換だけでなく、身体介助を行う時に頻繁に観察を行って、早期に発見して対処することが重要になります。重症化してからでは治りにくく、さらに悪化しやすくなってしまいます。
まとめ
褥瘡の好発部位とその対策とは?(前編)
褥瘡はなぜできる?
なぜ私たちは褥瘡にならないのか?
褥瘡の好発部位とは?