十二指腸潰瘍 は以前と比べると通院治療できるケースが増え、必ずしも 入院 が必要ではなくなりました。一方、薬による完治はできるようになりましたが、再発しやすいのも特徴です。どのような時に入院となるのか、その目安や治療の経過についてまとめました。
十二指腸潰瘍の治療は、通院か入院か
入院と通院の違い
以前は胃潰瘍や十二指腸潰瘍になると、入院して手術が行われることもありました。近年では内視鏡による検査技術が向上し、早期発見できるケースが増えています。薬の開発も進み、入院をせずに通院治療を選択する人が大半を占めるようになりました。
今は潰瘍部分からの出血程度であれば通院治療が可能です。しかし潰瘍からの出血が多い場合や激しい腹痛などの症状がある場合には入院となります。
潰瘍からの出血が多い場合には、血液が混ざることで黒っぽくべっとりした便になる、嘔吐して吐血する、という症状があらわれます。
入院となるのは十二指腸潰瘍が悪化した場合なので、入院により仕事や日常生活に支障が出ること、入院費用がかかることを考えると通院治療を選択することが一般的です。
入院となった場合には
厚労省の発表では、入院となった場合の平均入院期間は22.1日となっています。入院治療の基本は薬物治療と安静と食事療法です。胃酸の分泌を抑える薬や粘膜を保護する薬などを使用します。
出血が多い時には絶食して点滴治療が行われます。止血はほとんど内視鏡下で行われます。薬剤を使用して止血する、熱やクリップで血管の血流を止めて止血する、といった方法があります。内視鏡で止血ができない場合や穿孔性潰瘍などの場合は手術になります。
食事が再開されてしばらくすると点滴は外されて内服薬による治療に切り替わります。
入院することで安静だけではなく、仕事などの忙しさから離れてストレスを避けることができます。ストレスは十二指腸潰瘍を引き起こし悪化させるため、規則正しい生活や食事療法など、落ち着いた環境にいることで治療の経過は良くなります。
潰瘍形成から治癒までの経過
できたばかりの潰瘍の表面は白っぽい白苔(はくたい)で覆われ、周囲は赤く腫れています。口内炎のような状態を想像してください。この時期は心身の安静を保ち、消化の良い食事や薬による治療が必要です。放置すると潰瘍が悪化し、出血や穿孔を起こす危険があります。
2~3週間経過すると、潰瘍のサイズが縮小し、周囲の腫れが治まり白苔は薄くなってきます。この時期は再発のリスクが高く、ストレスを避け薬物治療をきちんと続ける必要があります。
白苔が消えて、十二指腸の粘膜にひだのような傷あとが残り、そのあとが赤(赤色瘢痕)から白(白色瘢痕)になると、潰瘍は治癒したと判断されます。個人差はありますが6週間ほどかかり、ここで治療は終了です。
なかには白色瘢痕へと至らず、赤色瘢痕のままで半年以上かかることもあります。赤色瘢痕では再発の危険があるため治療を続ける必要があります。
十二指腸潰瘍の第一選択薬はPPI(プロトンポンプ阻害薬)です。十二指腸潰瘍にはPPIは6週間投与と定められています。それ以前に治癒する場合でも6週間続けます。入院でも通院でもPPI投薬は行われます。
日常生活で気を付けること
十二指腸潰瘍はストレスや生活習慣、食生活などの影響が大きいとされています。治療が終了しても再発する可能性があるため、日常生活にふだんから気を配ることで再発や悪化を防ぐことができます。
十二指腸潰瘍は男性が多く、20~40代の若い世代が多くなっています。神経を使っている、ストレス発散できていない、几帳面すぎる、疲労がたまってイライラしている、など思い当たれば黄色信号だと自覚して、ストレスを軽減できるような工夫が必要です。
食事の内容を見直すのはもちろんですが、規則正しい時間に食事をすることで生体内リズムが整い、消化吸収がスムーズに行われます。
空腹のままでは胃液が濃くなり刺激となるため注意が必要です。よく噛んでゆっくり食事をすることで、消化液と食事がよく混ざり胃腸への負担が軽くなります。
薬による完治が可能になりましたが、再発を繰り返すことも多くあります。医師の指示通りに内服治療を続けて、ストレスと上手につきあい、生活習慣を見直して再発しないように気をつけて下さい。
まとめ
十二指腸潰瘍の治療は、通院か入院か
入院と通院の違い
入院となった場合には
潰瘍形成から治癒までの経過
日常生活で気を付けること