私たちは胃が痛んだり胸焼けがするとすぐに胃潰瘍や胃がんを連想します。ですがもう一つ忘れてならないのが十二指腸潰瘍です。昔はこの病気で死ぬこともあリましたが、近年では薬によってほとんどが完治するようになりました。
胃潰瘍と同じような症状があり原因も似ていることから診察を受けるまで判りません。ここでは、 十二指腸潰瘍 とはどのような病気なのか?またその仕組みと 症状 についても詳しく説明していきます。
十二指腸潰瘍とは?症状と治療について
十二指腸とは?
十二指腸という名前はその長さが30cm程で大人の指を12本並べた位の腸というところからきています。十二指腸のなかで、分泌された膵液と胆のうから送られてきた胆汁が混ぜ合わされます。
胃からきた酸性の食べ物はアルカリ性の膵液で中和され胆汁は膵液と合わさることで膵液に含まれる消化酵素を活発にし脂肪などの分解を助けます。そうすることによって消化酵素が働きやすい環境が作られるのです。ここで小腸で吸収しやすいようにさらに消化が進められます。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍との違い
どちらもピロリ菌や胃酸などの攻撃因子によって起こるとされる潰瘍性疾患ですが、前者が50歳からの高年齢者に多いのに比べ後者は2、30歳代の若年層に多く見られます。
また胃潰瘍は胃角部に多く十二指腸潰瘍は胃酸の影響を受けやすい胃に近い球部と呼ばれるところに多くできます。痛みはどちらも空腹時に起こりますが十二指腸潰瘍の場合、夜間や明け方に多いのも特徴です。
十二指腸潰瘍の仕組み
十二指腸も構造は他の腸と同じように一番内側の粘膜層から外に向かって粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜層となっています。最初は胃酸などによって粘膜層がただれます。
普通はすぐに細胞の修復作業が行われますが、強い刺激が度重なったり他の要因などによって修復が間に合わないと次第に粘膜が掘れてきます。自覚症状が乏しく放置しておきますと固有筋層に達しさらには漿膜層を突き破り大量出血が起こります。
十二指腸潰瘍の症状
空腹時に痛みがある
食事をしてから2、3時間後に痛みがありますが食事をとると治まります。
夜間、明け方に激しい痛みを感じる
これは特に十二指腸潰瘍に多く見られる症状です。
胸焼や膨満感がある
胸焼けも十二指腸潰瘍に多く見られる症状です。腸内にガスが溜まって膨満感がありますが食欲は落ちないこともあります。
吐血や下血がある
痛みを感じない場合でも出血し黒いタール便が出ることがあります。
十二指腸潰瘍の治療
潰瘍は様々な攻撃因子によって起こります。何らかの原因で防御因子とのバランスが崩れたままですとさらに進行します。そこでバランスを元に戻してやる必要があります。大量の飲酒や喫煙、ストレス、薬などが原因でしたらそれらを排除し、併せて内服薬を処方します。
治療には胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬が使われます。胃酸の分泌を抑え、粘液の分泌を促進し血流を良くすることで殆どの場合治るとされています。十二指腸潰瘍が慢性化していたり大量の出血があったりすると手術が必要になることもあります。
また、ヘリコバクターピロリ菌の除菌を行います。近年になってピロリ菌の出す毒素が十二指腸潰瘍を引き起こす大きな原因であることが解ってきました。
十二指腸潰瘍は進行させないことは勿論ですが慢性化させないことが特に大切です。いつも下血したり痛みや不快感があるなど、それ自体がストレスとなり、悪循環を繰り返します。消化不良により栄養が十分に取れず痩せてきます。
栄養不足になりますと免疫力の低下につながり他の病気にかかりやすくなります。異状を放置せず早めに治療しましょう。
まとめ
十二指腸潰瘍とは?症状と治療について
十二指腸とは
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違い
十二指腸潰瘍の仕組み
十二指腸潰瘍の症状
十二指腸潰瘍の治療